第135回:趣味で充実させた自宅のPC環境を社用PCと共有したい! AnkerのKVMスイッチをテレワーク用に導入してみた!
今年度からINTERNET Watch編集部で仕事を始め、本格的にテレワークをするようになった。そんな中で、効率的な作業のために自宅の仕事環境を整えたい気持ちが高まっている。 【画像】筆者愛用のマウス、Logicoolの「G502」 筆者はもともとPCにかなり興味があり、高校生の頃から少しずつ自宅のPC環境を整えていた。PCは自作のデスクトップPCで、モニターは高リフレッシュレート対応のゲーミングモニターを2枚、キーボードは東プレのREALFORCE R2のテンキー付きに、マウスはLogicoolのゲーミングマウスのG502。それに加えて、オーディオインターフェイスやマイク、ヘッドホンにもこだわって、ゲームや趣味のDTMなどがかなり快適に楽しめる環境を構築してきた。 そうした中でPC環境に関して、ちょっとしたこだわりが生まれていた。デュアルモニターや、テンキー付きキーボード、ショートカットを割り当てられる多ボタンマウスが手放せなくなっていたのだ。 ■ 使い慣れた快適な環境でテレワークをしたい! しばらく会社から支給されたノートPCのみで仕事をしていたが、やはり長年使い慣れたPC環境での作業効率には及ばず、どうにかしたいと思い、解決方法を考え始めた。 まず思い浮かんだのは、新しく仕事部屋(ないしは仕事専用の机)を用意して仕事のしやすい環境を作ることだ。実現できれば最高の解決方法なのだが、ワンルームのアパートである自宅にはスペースもなければ、新しく機器を買い集める予算もないので現実的ではない。 そうなると、今あるPC環境を活用していく方法を考えていくことになる。 一番わかりやすい方法として、2台のPCで機器を都度つなぎかえる方法が思い浮かんだ。これは実際にやってみたものの、モニター2つにキーボード、マウス、オーディオインターフェイスと5本以上のケーブルをつなぎかえる必要があってかなり面倒。いくら使い慣れた環境で仕事ができるとしても、毎日続けようとは思えなかった。 だが、使い慣れた環境で仕事ができるのは非常に快適だったため、この環境をもっと手軽に実現できないか考えてみることにした。 そこで自分の遠い記憶の中に、USB機器を複数台のPCで切り替えできる製品があることを思い出した。記憶を頼りに詳しく調べたところ「KVMスイッチ」という製品を見つけた。これは、1組のキーボード・モニター・マウスを複数台のPCで切り替えできる製品で、今の自分が最も求めているものであった。 各社からさまざまな製品が発売されているが、デュアルモニター対応の製品になるとかなり選択肢が少なくなる。そのなかでも、デザインがシンプルで自分の好みに最も近いと感じた、Ankerの「KVM Switch(Dual 4K, For デスクトップPC & ノートPC)」を購入することにした。 ■ 簡単に接続できる! しかしポート構成には注意点が…… 届いた箱が想像していたよりも大きくて少し驚いたが、接続に必要なケーブルがたくさん同梱されているためであった。同梱されていたのは、HDMI 2.0ケーブル×1とDisplayPort 1.4ケーブル×1、USBケーブル×2(Type-C to Type-CとType-C to Type-Aが1本ずつ)で、他にケーブルを買い足す必要なく使用できるのは非常に助かる。 本体サイズは公称値で約170×72×28mm(幅×奥行×高さ)となるが、別体の電源アダプターは100Wでサイズも大きめ。また、本体からは有線接続されたリモートスイッチが繋がっている。リモートスイッチには磁石が内蔵されているため、デスクの金属部分などに固定することが可能だ。 接続は特に難しいところはない。本体背面には青色と黄色で色分けされている部分があって、青色の部分にPC1を、黄色の部分にPC2をつなぐようになっている。 青色の部分にはUSB Type-Cポートが1つのみ。これはDP ALT Modeと最大65WのPD給電に対応していて、ノートPCをつなぐもの。付属のUSBケーブル(Type-C to Type-C)はDP Alt Modeにも対応した仕様になっているので、それを使って仕事用のノートPCに接続できる。 黄色の部分にはデスクトップPCをつなぐ。ここには、USB Type-Cポート×1、映像入力としてDisplayPort×1、HDMI×1がある。こちらのUSB Type-CポートはPD給電などには対応しておらず、付属のUSBケーブル(Type-C to Type-A)を使ってデスクトップPCのUSBポートに接続することで、USBハブとして機能する。DisplayPortとHDMIの映像入力も付属のケーブルでデスクトップPCに接続する。 本体背面にはそのほか、電源ポートと、映像出力(DisplayPortとHDMIが1つずつ)が用意されるので、付属の電源アダプターとモニターを接続する。しかし、筆者はもともと2台のモニターともにDisplayPortで接続していたので、HDMIケーブルが足りず、使っていないケーブルを家の中で探し回ることになってしまった。 本体の前面にはUSBポートとKVMスイッチの電源ボタンが並ぶ。 USBポートはUSB Type-C(USB 3.2 Gen 1対応)×1、USB Type-A(USB 3.2 Gen 1対応)×2、USB Type-A(USB 2.0)×1を備えている。必要最低限の数といった感じで、キーボードとマウス、ウェブカメラを接続するとほぼ埋まってしまうため、別でUSBハブも用意した。 ■ 使い慣れたPC環境が仕事用のノートPCでも! さっそく仕事用のノートPCに接続してみる。KVMスイッチには様々な機器がつながっているが、ノートPCにはUSB Type-Cのケーブル1本のみを接続すればよく、とても簡単に使用できる。同じケーブルでノートPCへの給電(USB PD 最大65W出力)も同時に行えるため、充電に関して気にしなくていいのもありがたい。 いよいよ実際の仕事で使ってみる。高価な機器なのでうまく動作しなかったらどうしよう……という不安な気持ちもあったが、それは杞憂だった。 ケーブル1本をつなぐだけで、使い慣れたキーボードやマウス、デュアルモニター環境を仕事用のノートPCで使用できるようになった。机の下に潜ってケーブルを何本もつなぎかえていた苦労が嘘のようだ。やはり使い慣れたキーボード・マウス・モニターを使って環境で仕事ができるのは非常に快適で、作業効率が格段に上がったと感じる。 そして個人用のデスクトップPCでも、これまでの状態と全く変わりなく使用でき、2台のPCで同じ機器を使いたいという目的が達成できた。 ■ オーディオインターフェイスも問題なく使えた! 筆者は趣味でDTMをしており、ギターなどの楽器の接続や音質のためにオーディオインターフェイスを使用している。そこに接続しているマイクとヘッドホンをWeb会議などで使いたいと思っていたので、KVMスイッチに接続してみることにする。 オーディオインターフェイスは一般的にPC本体のUSBポートに直接つなぐことが推奨されていて、USBハブなどを経由すると電力供給が不安定なため、正常に動作しないケースがあるとされる。そのため、USBハブに近い立ち位置の本製品では、正常に動作しない可能性がある。実際、一部のレビューでは正常に動作しなかったという報告があった。 そのためあまり期待はしていなかったが、実際に接続してみると問題なく動作した。細かい不具合が起きるかもしれないと思い、Web会議やDTMなど様々なシチュエーションで使用してみたが、これまでと特に変わらず使用することができた。 これで、ノートPCに内蔵されたマイクよりも格段に良い音質でWeb会議に参加できるようになったのではないかと思う。 ■ 1週間使ってみて見えてきた、少しだけ気になる点 この製品を使い始めてから1週間ほどが経ち、ほとんど不満なく使用できていたのだが、細かい部分で気になる点がいくつか見えてきた。 まずは、先ほども触れた内容だが、USBポートが自分の使い方だと足りない点が最も気になった。筆者は常につないでおきたい機器をつないだ時点でUSBポートが足りなくなってしまったため、KVMスイッチの先にUSBハブを接続し、マウスやキーボードなど消費電力の大きくないと思われる機器をUSBハブを通して接続して対処している。 次に、デスクトップPCとノートPCの切り替えが完全にシームレスとはいかず、体感で10秒ほどかかってしまう点だ。切り替えの途中で解像度変更などの処理が途中で挟まり、ウィンドウの配置が崩れてしまうことがあった。用途によってはかなり気になるかもしれない。 そして、今まで少し離れた位置にあるデスクトップPCにつないでいたケーブルを、机の上の本製品につなぐかたちとなるため、ケーブルの取り回しを考えないと、机の上が余ったケーブルでごちゃごちゃになってしまう点だ。あまりケーブルの整理を気にする方ではないが、目の前でごちゃごちゃしているとさすがに気になるので、短いケーブルを購入したり、ケーブルをまとめたりするなど対処を考えたいと思う。 また、本製品とは直接関係のない部分だが、モニターの数や接続する機器が増えることにより、これまでよりもノートPCへの負荷が高くなっていると感じた。筆者のノートPCの場合、全力でファンが回っている状態になることがかなり増えたため、外部の冷却ファンの導入などで冷却を助けてあげる必要性を感じた。 ■ 普段と何も変わらない。でもそれが一番の喜び! 今回購入したAnkerのKVMスイッチによって、いい意味で普段と何も変わらない環境で仕事ができる、非常に快適なテレワーク環境を作り出すことができた。使い慣れたPC環境で他のノートPCも使いたい! という方にぜひおすすめしたい製品だ。 今回はデュアルモニター向けの「KVM Switch(Dual 4K, For デスクトップPC & ノートPC)」を購入したが、シングルモニター向けのモデル、「KVM Switch(4K, For デスクトップPC & ノートPC)」もラインアップされている。こちらはぐっと安くなり、比較的手に取りやすい価格となっている。 INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。
INTERNET Watch,渡邊 悠太