トランプ氏、グリーンランド購入を活発に協議 ホワイトハウスが明らかに
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米ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は7日、ドナルド・トランプ大統領と国家安全保障チームが、デンマーク自治領グリーンランドの購入について「活発に」協議していると明らかにした。グリーンランドとデンマークは、グリーンランドは売り物ではないと繰り返し強調している。
トランプ氏は大統領1期目の2019年、グリーンランドの購入を提案した。だが、売り物ではないと言われて終わった。
レヴィット氏はこの日、「アメリカによるグリーンランド取得は新しいアイデアではない」と記者団に説明。
「大統領は、北極圏でのロシアと中国の侵略を抑止することがアメリカの最善の利益であると考えていると、あなたたち全員と世界に対してとてもはっきり伝えている。、大統領のチームは現在、購入の可能性がどのようなものか話し合っている」と述べた。
トランプ政権はこれまで、グリーンランドを領有するためには軍事力の行使も排除しない考えを示している。
その理由を問われたレヴィット氏は、常にすべての選択肢が準備されていると返答。ただ、トランプ氏の「最初の選択肢は常に外交だ」と述べた。
グリーンランドをめぐっては、トランプ氏が3日にヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を軍事行動によって拘束したことで、その将来への懸念が再び高まった。
デンマークは、もし自国領がアメリカに攻撃されれば、両国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)は終わりを迎えると述べている。
トランプ政権はグリーンランドを、アメリカの安全保障にとって不可欠だとしている。同島の人口密度は世界で最も低いが、北米大陸と北極圏の間に位置しているため、ミサイル攻撃の早期警戒システムや、北極圏での船舶の監視に適している。島内にある、かつてチューレ空軍基地と呼ばれたピツフィク宇宙軍基地は、第2次世界大戦以降、アメリカが運用している。
また、近年はグリーンランドの天然資源への関心も高まっている。気候変動によって氷が解け、レアアース(希土類)、ウラン、鉄などが入手しやすくなっている。科学者らは、石油やガスが埋蔵されている可能性もあるとみている。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は7日、デンマークと来週、協議する予定だと述べた。
一方、フランスのジャン=ノエル・バロ外相は同日、ルビオ氏と電話で話したとし、同氏がグリーンランドへの「侵攻の可能性を否定した」と述べた。バロ氏はこの日、ドイツとポーランドの外相らと、グリーンランド情勢について協議した。
欧州側は6日、デンマークを支持する姿勢を表明した。フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、デンマークの首脳らは共同声明で、「グリーンランドはその土地の人々のものであり、デンマークとグリーンランドだけが両国の関係を決定できる」とした。
首脳らはまた、北極圏の安全保障について、アメリカと同じくらい気にかけていると強調。ただそれは、アメリカを含むNATO同盟国によって「集団的に」達成されなくてはならないとした。
そのうえで、「主権、領土保全、国境の不可侵を含む国連憲章の原則を守る」ことを求めた。
ミラー次席補佐官も5日、「グリーンランドはアメリカの一部であるべきだというのが、米政府の公式の立場だ」と述べた。
デンマーク議会でグリーンランドを代表している2議員の一人、アーヤ・ケムニッツ氏は、トランプ政権の発言は「明らかな脅威」だとBBCに話した。
「私たちの国の併合を否定せず、他のNATO同盟国を併合するというのは、アメリカ側のまったく無礼な姿勢だ」
ケムニッツ氏は、併合の可能性は低いとみている。ただ、「グリーンランドを時間をかけて確実に奪おうと、(アメリカが)私たちに圧力をかけてくるだろう」と話した。
グリーンランド北部の人里離れた町カーナークに住む先住民イヌイットの猟師、アレカツィアク・ピアリー氏(42)は、アメリカが領有する可能性に無関心な様子だった。
「ある主人から別の主人へ、ある占領者から別の占領者へと換わるということだろう」と、同氏はBBCに話した。「私たちはデンマークの植民地だ。デンマーク政府の下に置かれていることで、すでに多くを失っている」。
同氏はまた、「トランプに構っている暇はない」とし、人々は「困っている」と説明。自分のような猟師たちは海氷の上で犬と一緒に狩りをしていたが、「海氷が解けていて、猟師たちはもう生活できない」と話した。