マスク氏、米政権で影響力強める-トランプ氏就任初日から鮮明
- マスク氏が長年批判してきた連邦政府DEI義務化、大統領令で終了
- ホワイトハウス内に専用オフィス、連邦職員労組はDOGE巡り提訴
「さあ始まるぞ」。資産家イーロン・マスク氏はドナルド・トランプ氏が第47代米大統領に就任して間もない20日夜にX(旧ツイッター)にこう投稿した。
マスク氏の投稿は具体的には、トランプ氏が連邦政府によるDEI(多様性、公平性、包摂性)義務化を終了させる大統領令に署名したことに言及したものだった。DEI義務化は、企業6社を経営する世界一の富豪であるマスク氏にとっては悩みの種で、長年これを激しく批判してきた。
これはマスク氏とトランプ氏の関係に依然として疑念を抱いている人にも、両氏の共存関係をあらためて印象づけた。私生活でも仕事上でも常に忠誠心が変化することで知られる両氏の関係は永遠に続くことはないかもしれないものの、マスク氏が政権で持つ影響力を見せつける形となった。
トランプ大統領が就任初日に取った行動の一つは、マスク氏のためにホワイトハウス内に専用のオフィスを設置することだった。
トランプ氏は20日、マスク氏と同氏のチーム「政府効率化省(DOGE)」のためにホワイトハウス内に約20人分のオフィススペースを用意すると発表。マスク氏は既にホワイトハウスのメールアドレスを確保したほか、各連邦機関で少なくとも4人の職員がコスト削減の実施を支援する。
DOGEの責任者が誰かについても疑問の余地がなくなった。マスク氏と共にDOGEのトップに指名されていたビベック・ラマスワミ氏は、オハイオ州知事選への出馬を準備するためDOGEに参加しないと発表した。
批判の声も
一方、米連邦職員を代表する米国行政府職員連合(AFGE)は20日、DOGEを巡りトランプ政権を提訴した。ホワイトハウスと直接関連する組織に対して利益相反・イデオロギーのバランス・透明性のチェックを義務付ける1972年成立の連邦法にDOGEが違反していると主張した。
テスラやスペースX、Xなど6社のトップを務めるマスク氏には、多くの利益相反の可能性があるとの批判の声も聞かれる。6社はいずれも米政府の規制を受ける分野で事業を展開している。
民主党のマーフィー上院議員(コネティカット州)は20日にMSNBCの番組で「わが国の民主主義の崩壊を目の当たりにしている。それはこれから起きるのではなく、今まさに起きていることだ」と述べた。
原題:Elon Musk Cements His Power in Washington on Trump’s First Day(抜粋)