米国の中東関与、中国利する可能性-ホルムズ海峡巡り米中の思惑交錯

中国は米国によるイランの核施設への攻撃を「強く」非難するとともに、中東の平和回復に向けた国際的な取り組みに参加する用意があるとあらためて表明した。

  中国外務省は22日に発表した声明で、「米国の行動は、国連憲章および国際法の目的と原則に著しく違反し、中東の緊張をさらに悪化させる」と主張した。「中国は、全ての当事者、特にイスラエルに対し、一刻も早く戦闘を停止するよう呼びかける」としている。

  中国共産党系の新聞、環球時報は23日、批判をさらに強めた。米国の「バンカーバスター(地中貫通爆弾、MOP)」使用が「イラン・イスラエル間の紛争を制御不能な状態に近づける」と伝えた。

ミズーリ州のホワイトマン空軍基地にある「GBU-57」

  トランプ米大統領は、米軍がイランの主要な核施設3カ所を攻撃したと発表し、イランが降伏しなければさらなる攻撃を行うと警告した。トランプ氏は長年にわたり新たな戦争を避けると公言してきたが、米国をイスラエルとイランの紛争に直接介入させた。

  中国はこれまでのところ、イランに対し、コメント発表以外の具体的な支援は行っていない。習近平国家主席は先週、ロシアのプーチン大統領との電話会談で、イラン・イスラエル間の戦争に関する4項目の提案の概要を示した。

  ルビオ米国務長官は、ホルムズ海峡を封鎖しないようイランを説得するよう中国に呼びかけた。

  この海峡はペルシャ湾の入り口にあり、世界の原油の約2割がここを通過。ホルムズ海峡経由の原油に最も依存している国が中国で、同海峡を通る原油の3割強が中国向けだ。

  ルビオ氏は「石油をホルムズ海峡に大きく依存している」中国にイランに連絡するよう促したいとFOXニュースの番組で語った。

  イランは米国の攻撃に対する報復としてホルムズ海峡の封鎖を試みる可能性がある。イラン国営テレビによると、イラン議会は封鎖を求めており、実行には最高指導者ハメネイ師の明確な承認が必要とされている。

  イランのアラグチ外相は「主権と国益、国民を守るため、あらゆる選択肢」をイランは保持していると述べ、米国の行動は「永続的な結果を招く」と警告した。

  米国によるイラン産原油購入に関する制裁を無視している中国は、イラン石油輸出の約9割を購入しているが、二次的制裁のリスクや核不拡散を巡る公式的な立場から、軍事的または外交的な介入には慎重姿勢を崩していない。

  米国が中東関与に集中することで、中国政府にとって好都合な状況が生まれる可能性があると指摘する専門家もいる。

  国際危機グループの北東アジア担当シニアアナリスト、ウィリアム・ヤン氏は「これが長期的な米国の中東関与につながる場合、中国周辺への米国の軍事・外交的関心が薄れることになる」と述べた。

原題:China Rips Trump’s Iran Attack in First Comment Since US Hit (2) (抜粋)

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