イスラエル首相、トランプ氏提示の15項目の「ガザ和平計画」を拒否 ハマス武装解除が撤退条件と
画像提供, Getty Images
Published
この記事は約 6 分で読めます
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が提示した、15項目からなるパレスチナ・ガザ地区の和平計画を拒否した。ネタニヤフ氏は、ガザの武装組織ハマスが「真に」武装解除されるまで、イスラエル軍の撤退は行われないと述べた。
しかしハマスは、重火器の引き渡しについて、イスラエルが「あらゆる形態の侵略行為」を終わらせ、ガザからイスラエル部隊を撤退させることが条件だと主張した。
イスラエルは昨年10月に停戦で合意した後も、ガザへの空爆を続けている。
「武装解除なければ撤退せず」とネタニヤフ氏
ネタニヤフ氏は9日の閣議で、「イスラエルは15項目の文書を拒否する」と述べた。
そして、イスラエル軍は「ハマスが真に武装解除されるまで、いかなる撤退も行わず、我が軍と国民に対する脅威を阻止し続ける」と付け加えた。
ハマス当局者は9日にBBCに対し、同組織は合意への「コミットメントを再確認する」としたうえで、15項目の和平計画の「実施に真剣かつ責任を持って取り組む」用意があると語った。
仲介者に対しては、確実に「すべての当事者が合意内容を順守するよう」にしなければならないと述べた。
イスラエルの拒否は、昨年9月に最初に発表されたトランプ氏主導のガザ和平計画への新たな打撃と言える。
この和平計画には、合意の履行を監督する平和評議会の設置や、ハマスの武装解除、イスラエル軍のガザ撤退、ガザの復興が盛り込まれている。
ネタニヤフ氏の今回の表明は、決して意外なものではない。
ただし、ネタニヤフ氏が実際に和平計画を拒否すると発言するまでには、かなりの時間がかかった。これはおそらく、同氏が置かれている難しい立場を反映しているのだろう。
ネタニヤフ氏は明らかにトランプ氏の計画に不満を抱いている。しかし同時に、最も親しい同盟国の機嫌を損ねたくはないだろう。
しかし、ネタニヤフ氏は9日、自政権下ではそのようなことは起こらないと明確に示した。まず先にハマスが武装解除する必要があり、それは「見せかけの武装解除」ではなく、本当の武装解除でなければならないと、同氏は付け加えた。
現実としては、ハマスの武装解除とイスラエル軍の撤退は、段階的に行われる可能性が高い。
ネタニヤフ氏は、今後の進め方について現在、米政府関係者と協議していると述べた。
「(アメリカ側)には案がある。その中には我々が受け入れられるものもあれば、受け入れられないものもある。こうした問題について自分たちの立場を貫く方法を、こちらは承知している」と、ネタニヤフ氏は述べた。
ただ、ネタニヤフ氏が実際に譲歩しようとする可能性は低い。イスラエル総選挙を数カ月後に控える中、ネタニヤフ氏は自身が率いる右派連立政権のメンバーから、ガザに対して強硬姿勢を取るよう圧力を受けているからだ。
連立政権内の極右勢力からは、閣議で新たに採決を行い、ガザの和平計画を打ち切るよう求める声も出ている。こう訴える人の中には、和平計画案を「受け入れられない」と一蹴した極右政治家のイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相も含まれる。
トランプ氏主導の平和評議会の現地代表を務めるニコライ・ムラデノフ元ブルガリア外相は9日、「前向きな結果」を期待した協議が続いていると述べ、和平計画を擁護した。
同委員会のガザ担当上級代表を務めるムラデノフ氏は、イスラエルのチャンネル12に対し、「このプロセスに成功の機会を与える」ようイスラエルは促されているのだと説明。2023年10月7日のハマスによる攻撃が絶対に繰り返されないようにするには、この計画が「唯一の前進の道」だと強調した。
この計画は「検証可能で、後戻りも可能で、各段階で停止することができる」プロセスに基づいたもので、「我々が、今後の課題を極めて冷静に理解したうえで構築したものだ」と、ムラデノフ氏は述べた。
また、ハマスが武装解除への措置を講じていると確認されるまでは、イスラエルがガザ撤退を求められることはないだろうとした。
国連によると、ガザでは人口の約90%に当たる約190万人が域内避難を余儀なくされている。
現在の戦争は、2023年10月7日にハマスがイスラエル南部を奇襲したことで始まった。この攻撃では民間人を中心に約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。
イスラエルは報復として、ガザでの軍事作戦を開始した。国連が信頼できる情報源とみなす、ハマス運営のガザ保健省の統計によると、イスラエルの作戦でガザではこれまでに7万3000人以上が殺害されている。