トランプ政権による判事「中傷」に司法界反発-判決文で異例の批判

Zoe Tillman

  • 大統領の政策に異議を唱えた判事を誹謗中傷するトランプ政権を批判
  • 司法省が裁判所の方針に異議、判事を提訴-カレン判事は訴え退け
Photographer: Olivier Douliery/AFP/Getty Images

米バージニア州の連邦地裁のトーマス・カレン判事は今週、連邦裁判官を非難し個人攻撃を加えるトランプ政権の「組織的な行動」について、強い批判を公にした。

  第1次トランプ政権下で任命された同判事は26日の判決文で、大統領の政策に異議を唱えた判事らを「誹謗(ひぼう)中傷し、信用を傷付けようとする政府高官らの発言は前例のないものであり、遺憾だ」と記した。

  判事への攻撃に用いられた表現として「活動家」「過激」「ならず者」「常軌を逸している」などを引用した。

  政権を批判するくだりは判決文中の脚注にとどまったが、現職の連邦判事が率直に政権を批判するのは極めて異例だ。連邦判事は倫理規定に従い、政治的と受け取られかねない発言を控えるべきものとされる。

  しかし、トランプ氏や政権幹部の判事に対する言動がエスカレートする中で、自らや同僚、さらには司法の独立性を擁護する声が一部の判事から上がり始めている。

  カレン判事のように、裁判官を擁護する立場を判決文で示す例もあれば、法律家団体と接触したりオンライン配信イベントに参加したりして、司法を取り巻く脅威の高まりについて語る判事もいる。

  カレン判事は今回の判決文で引用した表現について、具体的に誰の発言かは明記しなかった。ただ、トランプ氏は過去にSNS投稿などで「いかさま」「過激」など、カレン判事が挙げた表現の一部を実際に使用している。

  政権批判は、司法省がメリーランド州の連邦地裁判事全員を相手取って起こした訴訟の判決の中で示された。司法省は、移民案件において強制送還を一時的に停止するという新たな裁判所の方針を巡って提訴した。

  カレン判事は司法省の訴えを退け「裁判所命令に異議を唱える通常の手続きを踏むのではなく、異例かつ重大な影響を及ぼしかねない訴訟を起こした」として、政権側の対応を批判した。

  司法省はこの判断を不服として控訴している。司法省の報道官はコメントを控えた。

  ホワイトハウスのジャクソン報道官はカレン判事の判断について「大統領による移民法の執行権限に対する直接的な攻撃を容認するものだ」と批判。「トランプ政権としては最終的な勝利を確信している」とのコメントを出した。

原題:Judicial Backlash Grows Over ‘Smear’ Campaign by Trump Officials(抜粋)

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