焦点:ベネズエラ介入でMAGA逸脱、トランプ氏は「ネオコン化」か
<不介入から介入へ>
「われわれは成功というものを、勝利する戦いだけでなく、われわれが終わらせる戦争、そしておそらく最も重要なのは、われわれが決して関与しない戦争によって評価することになる」。昨年1月の大統領就任式でトランプ氏は支持者らにこう語った。
しかしそれ以降、シリア、イラク、イラン、ナイジェリア、イエメン、ソマリアの標的を爆撃し、カリブ海と太平洋で「麻薬密輸船」とする数十隻を爆破。グリーンランドとパナマへの侵攻をほのめかしている。
そして今回のベネズエラへの作戦はトランプ氏にとって外国に対する最も攻撃的な軍事行動だ。
第2次トランプ政権におけるこうした展開は、トランプ氏が、物価や経済、医療といった有権者が重視するの国内問題に焦点を当てるだろうという一部共和党員の期待を裏切るものだ。
トランプ氏は3日の会見で、ベネズエラへの介入は自身の「米国第一(MAGA)」政策に沿ったものだと説明した。「われわれは良い隣人に囲まれたい。安定の中にいたい。エネルギーに囲まれたい」と述べ、ベネズエラの石油埋蔵量に言及した。
これに対し、MAGA派からは反論が出た。トランプ氏がMAGAから逸脱していると批判し、同氏と袂を分かった共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は「MAGA支持者の多くが終わらせたいと思って(トランプ氏に)投票したことが起こった。われわれはなんと間違っていたことか」と交流サイト(SNS)に投稿した。同氏は今月、議員を辞職する。
<政治的のリスク>
トランプ氏の外交問題への傾斜は、11月の中間選挙に向けて民主党にトランプ氏批判を勢いづかせる。
上院民主党トップのシューマー院内総務は「はっきりさせたいのは、マドゥロが非合法な独裁者だということだ。だが議会の承認なしに、次に何が来るかについての連邦計画なしに軍事行動を開始することは無謀だ」と記者らに語った。
トランプ氏はウクライナやパレスチナ自治区ガザなど、いくつかの外国紛争を終結させるために働き、ノーベル平和賞を受賞したいという意向を公にしている。しかし米国の軍事行動はより多くの公衆の注目を集める傾向があり、歴史的に大統領とその政党には政治的リスクとなってきた。
ベネズエラへの軍事行動は、実施前の段階で世論は否定的だった。昨年11月のロイター/イプソス調査では、マドゥロ政権を退陣させるための武力行使への支持は2割だった。
<ネオコン化の兆し>
トランプ氏は、自身を20世紀後半の共和党の伝統的保守主義に基づく「ネオコンサバティブ(ネオコン)」の対極に立つと位置づけてきた。しかし、同氏の外交政策はネオコンとされる前任者のそれとの類似が顕著になってきている。
例えば、1983年のレーガン政権のグレナダ侵攻。当時、政権はグレナダ政府は非合法だと主張し軍事介入した。これはトランプのマドゥロ氏に関する主張と一緒だ。89年のブッシュ(父)政権でのパナマ侵攻は、麻薬密売罪で米が指名手配していた独裁者ノリエガの排除が目的だった。マドゥロ氏も米国で複数の罪で起訴されている。
第1次トランプ政権でベネズエラ特使を務め、現在はシンクタンク、外交問題評議会のシニアフェローのエリオット・エイブラムス氏は、トランプ氏はマドゥロ氏を追放することで国内で政治的リスクを冒していると考えていないと話す。「マドゥロを排除することでトランプ氏は正しいことをした。問題は、ベネズエラの民主主義支援において正しいことをするかどうかだ」と述べた。
オバマ政権(民主党)で外交政策顧問を務めたブレット・ブルーエン氏は、米国は今や複雑な移行プロセスの監督に巻き込まれる可能性があると指摘した。「この話の短いバージョンは見えない」とし、米国がベネズエラのみならずその近隣諸国に関連する新たな問題への対処も求められると指摘した。
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Gram Slattery is a White House correspondent in Washington, focusing on national security, intelligence and foreign affairs. He was previously a national political correspondent, covering the 2024 presidential campaign. From 2015 to 2022, he held postings in Rio de Janeiro, Sao Paulo and Santiago, Chile, and he has reported extensively throughout Latin America.