日産、ホンダとの交渉打ち切りへ-共同持ち株会社できょう発表も
ホンダの三部敏宏社長は13日夕、「経営統合に向けた検討」に関して会見を開く。同社と日産自動車は昨年12月に共同持ち株会社設立に開始した交渉の方向性について2月中旬に示すとしていたが、両社の主張には隔たりが大きく、交渉の打ち切りが発表される可能性が高まっている。
三部社長のオンライン会見は同日午後4時50分から開かれる。それとは別にホンダは午後3時半、日産は同5時40分に2024年10-12月期(第3四半期)決算を発表。その後、それぞれ説明会を開く予定で幹部の発言にも注目が集まる。
事情に詳しい関係者によると、日産は既にホンダとの持ち株会社設立に関する交渉を打ち切る方針を確認しており、13日の取締役会で正式に決める方針だ。統合比率で折り合いがつかなかったほか、日産の株式を取得して子会社化するホンダからの提案も受け入れられなかったという。
日本経済新聞など複数の国内主要メディアが13日にはホンダも取締役会を開き、両社が協議を打ち切ると報じており、実現すれば販売台数で世界3位の自動車グループとなるはずだった両社の構想は実現にいたらない見通しが高まっている。日刊工業新聞は同日、両社は業務提携に関する交渉は継続すると報じた。
両社は昨年12月23日、新たに共同で持ち株会社を設立する検討に入ると発表した。計画では両社の完全親会社となる共同持ち株会社を設立。26年8月の上場を予定し、ホンダと日産はその傘下に入って上場廃止となる見通しとしていた。
日産は米国や中国市場での販売不振で業績が急速に悪化、立て直しを進めている。株式時価総額も含めてホンダに差をつけられており、共同持ち株会社の社長についてもホンダが指名する取締役から選定し、社内・社外取締役のそれぞれの過半数も同社が指名すると定められるなどホンダ主導の色彩が強かった。
両社は統合準備委員会で協議を進めてきたが、日産が大株主である三菱自動車が共同持ち株会社への合流を見送る方向で調整に入ったと読売新聞が1月24日に報道。当初は1月末をめどとしていた協議の方向性を発表する時期は2月中旬に延期されていた。
次の協業先
為替市場で円が対ドルで大幅安となったことなどもあり、13日の東京市場では国内自動車メーカーの株価はおおむね上昇で推移している。ホンダ株は一時前日比2.7%高の1441.5円まで買われた。日産株も同2.9%高の428.4円を付けたが下落に転じる局面もあった。
こうした中、日産はホンダとの交渉の先を見据え、次の協業先を探っている。具体的な話はまだないが、日産にとって最も重要な市場である米国や自動車にとっても重要性を増している情報通信(IT)関連の分野の企業などは有力な候補になり得るという。
英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏はリポートで、米アップルの電気自動車プロジェクトや米配車サービスのウーバー・テクノロジーズによる自動運転部門売却などの例を挙げた上で、将来の自動車の価値はソフトウエアにあることを考えると、「テクノロジー企業がレガシー自動車メーカーを買収し、支援することに興味を示す理由を見いだすのは難しい」との見方を示した。
その上で、たとえそういった企業が多少の興味があったとしてもホンダよりも提示価格は悪くなる可能性が高く、「日産は長期的な存続に不可欠ではないとみなされる資産を全て迅速に切り離すことになるだろう」とした。