『マイノリティ・リポート』が現実に? 英で犯罪予測アルゴリズム開発か

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どんなことでも「もし、もっと前にわかっていたら」と思うことはよくあります。それが、凶悪な犯罪ならなおさらです。イギリスのガーディアン紙が報じたところによれば、イギリス政府が、犯罪予測アルゴリズムの開発で、その「もし」に挑んでいるといいます。

マイノリティ・リポートの世界

情報の透明性を求める団体Statewatchが情報公開法のもとで申請、開示された資料を引用したガーディアンの報道によれば、犯罪予測アルゴリズム開発を担うのはイギリス法務省。実際に犯罪が起きるまえに、起こす可能性がある要注意人物のプロファイリングシステムを作っているといいます。プロジェクト名は「Homicide Prediction Project」。

犯罪予想といえば、トム・クルーズ主演の映画『マイノリティ・リポート』が浮かびます。映画では超能力者による予想でしたが、イギリス政府が使おうとしているのはデータです。

このプロジェクトがターゲットにしたのは、犯罪の中でも罪の深い殺人。10万人から50万人のデータを収集し、殺人リスクをデータで予測するモデルを開発しているといいます。データのでどころは、法務省、内務省、グレーター・マンチェスター警察、そしてロンドン警察など。犯罪歴のある人のデータはもちろん、容疑者、目撃者、行方不明者などのデータも含まれており、メンタルヘルスや依存症、自傷行為、自殺関連などさまざまなチェック項目があるのだとか。ちなみに、イギリス政府はこれを否定。

差別助長の懸念

犯罪予想・予測で注意しなければならないのは、一定の人たち、低所得者や一部の人種などに対するバイアスです。

実際にイギリスでは、Offender Assessment Systemという再犯リスク予想システムがあり、裁判での判決に影響します。このシステムを調査したところ、再販リスク予想は実際の数字よりも著しく高かったことが判明。また、予想対象が黒人の場合、白人と比べ予想がより不正確になることもわかりました。

これは何もイギリスに限った問題ではありません。有色人種や低所得者のコミュニティは警察との接触が多く、逮捕率も高い。これがデータとなり、そのデータを使ったアルゴリズはバイアスのかかった答えをだしてしまいます。犯罪予測は、現状、差別・偏見と隣り合わせにあるのです。

実際に未来を「見る」ことができないと、犯罪予想は成り立たないのでしょうか。映画では超能力者でも絶対ではなかったですけど…。

Source: The Guardian

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