9月8日(月)未明に、全国各地から皆既月食が見られます(縣秀彦)
今年9月8日(月)未明と、来年3月3日(火)夕方に、皆既月食を全国各地から見ることが出来ます。日本各地で見られた条件の良い月食としては、2022年11月08日以来の2年10か月ぶりの皆既月食で、来年3月3日の次に皆既月食が日本各地から観察可能なのは2029年1月1日と3年近く起こりません。
月食では全国各地で同じ時刻に現象が起こりますが、9月8日の場合、満月が欠け始めるのは1時27分頃、皆既食は2時30分頃から3時53分頃まで約1時間23分も続き、その後4時57分頃に通常の満月に戻ります。部分食が終わる際にはすでに月が沈んでいる地域もあります。深夜から明け方にかけての現象なので体力的に無理しない範囲での観察が望まれます。皆既中の月を楽しむことが目的なら、いつもより早起きして食の最大となる3時12分前後から観察するのも良いでしょう。
2025年9月8日未明の皆既月食 イラストは東京からの見え方。各現象の起こる時刻は全国どこでも同じ時刻ですが、高度と方位が場所によって異なります。(提供:国立天文台)一方、3月3日の場合は、欠け始めが18時50分頃、皆既食は20時4分頃から21時3分頃、22時17分頃に満月に戻ります。天気に恵まれれば、誰でもが観察しやすい時間帯の天文現象となります。
月食のしくみと楽しみ方
皆既月食が起こるしくみ 地球を公転する月が、地球の影に入る際に半影食、部分食を経て、皆既食となります。半影食は肉眼で見る限りはあまりその変化に気付きませんが、よく見ると、本影に近い月の一部が、薄暗くなっているようすがわかることがあります。(提供:国立天文台天文情報センター)皆既月食が起こると、次第に満月が欠けていき、すっぽりと影の中に入るとほのかに赤い満月に代わります。これは地球の大気中で波長の長い赤い光のみが屈折して折れ曲がり、月の表面にまで達するからです。波長の短い光は地球の大気中で散乱・吸収されてしまい、地球の影に入り込むことはできません。
皆既食中に月がほのかに赤銅色に輝くしくみ (提供:国立天文台天文情報センター)太陽を公転する地球の軌道(黄道)と、地球を公転する月の軌道(白道)とは、約5度傾いているため、通常の満月は地球の影には入りません。しかし、満月がたまたま黄道と白道の交点近くに来ると、月は地球の影のなかを通過することになり、月食が起こります。
月食は満月の時にしか起こりませんが、日食と違い、その時間、月が見えている場所からならどこからでも見ることができます。肉眼で観察することができますし、撮り方を工夫すると比較的簡単にスマホでも写すことが可能です。さらに双眼鏡や天体望遠鏡を使うと、月の表面の微妙な明るさや色の変化などを詳しく観察し、記録に残すことができます。ぜひ、見逃さないように。
なお、曇ってしまった場合や見逃してしまった場合ですが、全国各地の公開天文台から皆既月食のライブ中継が予定されていますので、そちらもご覧になってみてください。全国各地からの見え方の違いを楽しむこともできることでしょう。
参照サイト:
皆既月食の変化のようす 月は比較的簡単に写真撮影が可能です。スマホでも工夫するときれいに写ります。チャレンジしてみましょう! (写真:アフロ)1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。国際天文学連合(IAU)国際普及室所属。国立天文台で天文教育と天文学の普及活動を担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。