選挙演説の〝聖地〟大阪駅北「ヨドバシ前」激戦ルポ、路上ライブ横目に参院選候補ら続々と

ヨドバシカメラマルチメディア梅田の店舗近くに停車した陣営の演説を聞く有権者ら=3日午後、大阪市北区(山田耕一撮影、一部画像処理しています)

第27回参院選が公示された3日、大阪府内でも届け出を終えた候補者が街頭に立ち、選挙戦をスタートさせた。大阪選挙区は、4つの議席を巡り現職と新人計19人が立候補する全国屈指の激戦区だ。繁華街のど真ん中に位置するJR大阪駅北側の家電量販店「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」(大阪市北区)前は、各候補が入れ代わり立ち代わり登場する府内有数の街頭演説スポットとして知られる。選挙の〝聖地〟ともいえる「ヨドバシ前」の一日を追った。

「5月までは普通の医師だった。市民の目線で皆さんの声を届けていく」

午前10時ごろ、最初にマイクを握った国民民主党新人の渡辺莉央氏(30)は医療現場改革を訴えた。

この日は好天に恵まれ、午前10時の時点で市内の気温は31度を記録。日差しを避けながら演説を聞く有権者の姿もあった。

東側の阪急百貨店梅田本店前では諸派「チームみらい」の新人、平理沙子氏(34)が午前10時半から第一声。「社会全体で子育てができる日本をつくりたい」と訴える平氏の横を、ほかの候補の選挙カーが次々と通り過ぎた。

続いて、目と鼻の先の大阪駅前では、立憲民主党新人の橋口玲氏(56)の応援演説に駆けつけた辻元清美・参院議員が気勢を上げる。ほぼ同時刻、ヨドバシ前には元四條畷市長で無所属新人の東修平氏(36)が登場。「政党のしがらみ政治を終わらせる」と訴えた。

ヨドバシ前は普段、路上ライブの人気スポット。正午ごろには、各候補の演説の隙間を縫う形でアマチュアミュージシャンがマイクを取り出し、歌う姿も見られた。

選挙カーの前で路上ライブをする男性=3日午後0時半、大阪市北区(格清政典撮影、一部画像処理しています)

午後からは与党陣営も登場。「所得を上げる。大阪を護(まも)る」。午後1時40分ごろ、自民党新人の柳本顕氏(51)がこう訴えると聴衆から「がんばれよ」と声が飛び、柳本氏は「がんばらないわけにはいきません」と気合を入れた。

午後2時過ぎにはこの日の最高気温、34・8度を記録。猛暑が体力を奪う。

午後2時45分ごろには公明党現職の杉久武氏(49)が選挙カーから「掲示板の番号は、1番でございます」と自らへの投票を呼びかけ、午後3時ごろからは、日本保守党の百田尚樹代表が、新人の正木真希氏(46)の応援演説を開始。「東京で第一声をしてから、新幹線で大阪に駆けつけた」と声を上げた。

公明党と日本保守党の各陣営はわずかな時間差で演説し、周辺は数百人の聴衆で混雑した。

ヨドバシ店舗と大阪駅を結ぶ高架橋を歩く人々からは「選挙、選挙」との声が上がり、インバウンド(訪日客)らは珍しそうな表情でスマートフォンに写真をおさめていた。

午後6時を過ぎると、辺りはさらににぎやかに。ギターを持った女性が路上ライブを行っている場所の近くに、日本維新の会の比例代表候補が到着して主張を展開。続いて諸派「日本誠真会」の新人、吉野純子氏(55)が「日本の病を治したい」と訴えた。

街頭演説が可能な午後8時までの間に、アイドルグループのインストアイベントや、無料ドリンクの配布なども行われていた。

日本維新の会新人、佐々木理江氏(42)▽同、岡崎太氏(57)▽共産党新人の清水忠史氏(57)▽れいわ新選組新人の椛田健吾氏(44)▽参政党新人の宮出千慧氏(40)-らも街頭に立ち、計19人の候補が舌戦を展開した。(中野謙二、格清政典、西川博明)

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