ウォラーFRB理事、9月含め今後3─6カ月の利下げを予想

 8月28日、米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事(写真)は労働市場の崩壊を防ぐため、来月の利下げと今後3─6カ月のさらなる利下げを支持すると述べた。写真は2024年11月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

[28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は28日、来月から利下げを再開したいという考えを示し、政策金利を中立水準に近づけるため、さらなる利下げを「十分に予想している」と述べ、今後3─6カ月の追加利下げを支持する意向を示した。

マイアミのエコノミック・クラブでの講演で、「現在分かっていることに基づき、9月16─17日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを支持する」と表明。

「労働市場が軟化する兆しがある中、状況がさらに急速に悪化する可能性を懸念しており、FOMCがそうした悪化が進行するまで待たず、適切な金融政策の設定が遅れるリスクを冒さないようにすることが重要だと考える」と語った。

来月に通常よりも大幅な利下げが必要とは考えていないとした上で、来週発表される8月の雇用統計が大幅な景気減速を示し、インフレが引き続き抑制されていれば、見方は変わる可能性があると述べた。

ウォラー氏は「金融政策を緩和し、より中立的なスタンスに移行させる時が来た」と述べ、この中立水準について、現在の政策金利(4.25─4.50%)を1.25─1.50%ポイント程度下回る3%前後だとした。

「政策が大幅に遅れているとは考えていないが、そうした事態を許さないという意思を示す一つの方法は、9月以降の方向性について話し合うことだ」とし、「現在、私は今後3─6カ月の間に追加利下げを予想しており、利下げのペースは今後入手されるデータによって決まるだろう」と述べた。

講演後の質疑応答では「利下げは連続して行われるかもしれないし、数回実施後に休止するかもしれない。中立に向かいたいのは分かっている。問題はそこにどれだけ早く到達できるかだ」と語った。

また、関税による物価上昇圧力は今年末か来年初めにはピークを迎えるとの見方を示した。

「労働市場の軟化が続く中、私はさらなる利下げを十分に予想している。成長はおそらく今年後半も減速するだろう」とし、「金融政策は長いタイムラグを伴って機能する傾向があるため、待つべきではない」と語った。

ウォラー氏とボウマン副議長(金融監督担当)は7月のFOMCで、労働市場を巡る懸念から金利据え置きに反対した。

両者ともトランプ大統領によって任命された人物で、トランプ氏が利下げを要求し圧力をかけているパウエル議長の後任候補として検討されているとされる。

ウォラー氏は、関税の一時的な影響を除けば、インフレ率はFRBの目標である2%に近い水準で推移しているとのFRBスタッフの分析を引用した。これに加え、長期的なインフレ期待がしっかり抑制されていることや、労働市場が望ましくない形で弱まる可能性が高まっていることから、7月時点よりも強く利下げが必要と感じているという。

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