【米CPI】利下げの門、最後のかんぬきが外された-市場関係者の見方
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- 「9月利下げは確実、その後に何回利下げあるかの議論に移った」
- 「雇用情勢軟化からFRBの目をそらすほど強い数字ではなかった」
米国では基調的なインフレ率が8月に予想通りの上昇となった。一方、先週分の米新規失業保険申請件数は大幅に増加し、2021年10月以来、ほぼ4年ぶりの高水準となった。市場は9月の利下げに加えて、年内あと2回の利下げを見込んでいる。
米消費者物価指数(CPI)と米失業保険申請件数に関する市場関係者のコメントは以下の通り。
◎ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏:
門を閉ざしていた最後のかんぬきが外れた。利下げという馬がまさに厩舎(きゅうしゃ)を飛び出そうとしている。先週の雇用統計発表前までは9月に利下げがあるかどうかが焦点だったが、今や9月に利下げがあるのは確実だとして、その後に何回利下げがあるかという議論に一気に移ったのは驚きだ。
◎リーガン・キャピタルのスカイラー・ウィナンド氏:
インフレが比較的落ち着いていることが明らかになった。これにより、FRBは労働市場の軟化を食い止めることに、より重点を置けるようになる。来週に0.25ポイントの利下げが行われ、その後さらに年内2回、0.25ポイントずつの利下げが実施されるだろう。
◎モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのエレン・ゼントナー氏:
現時点でインフレは重要な副次的テーマではあるが、主役は依然として労働市場だ。この日発表されたCPIは、前日のPPIを相殺するように見えるかもしれないが、雇用情勢の軟化という状況からFRBの目をそらすほど強い数字ではなかった。これは来週の利下げにつながる。さらにその後も利下げは続く可能性が高い。
◎コメリカ・ウェルス・マネジメントのエリック・ティール氏:
インフレ指標は依然としてFRBの2%目標を上回っているものの、生産者物価指数(PPI)とCPIの両方を見れば、足元ではおおむね抑制されているように見える。利回り曲線のブルスティープ化は、現在の経済環境の重要な特徴であり、景気減速の影響を和らげ、中小企業や日常的な消費活動にとって追い風となることが期待される。
◎グローバルXの投資戦略責任者スコット・ヘルフスタイン氏:
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今年、物価安定と完全雇用へのリスクはほぼ均衡しているとの認識を示してきた。先週の雇用統計で大幅な修正があったことを受け、完全雇用へのリスクが物価へのリスクを今や上回っていると、多くがみている。FRBも恐らく同様の認識を持っているが、この日のインフレ指標は大幅利下げでなく、0.25ポイントの小幅利下げを支持する内容となった可能性が高い。
◎ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのジョン・カーシュナー氏:
FRBは今や、完全に身動きが取れなくなっている。パウエル議長は労働市場の明らかな減速に対抗するため利下げを断行しようとしているが、一方でFRBのもう一つの責務である物価の安定、つまり2%のインフレ目標を無視している。コアCPIはすでに4年半にわたり目標を大きく上回っており、今後もその傾向が強まっている。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
この日の米CPIは新規失業保険申請件数にかき消された。むしろ失業保険申請件数の急増がFRBの判断に一層の緊急性を与えるだろう。パウエル議長は連続利下げを示唆する公算が大きい。
原題:Bonds Climb as Fed Traders Lock In September Cut: Markets Wrap、Stocks, Bonds Rise as Data Seal September Fed Cut: Markets Wrap