アングル:日本株にリバランス売り警戒、国内金利高で株安でも比率上昇

2月25日、国内金利の急上昇が需給面でも株式市場の重荷になっている。写真は、株価ボードを見る東京証券取引所のスタッフ。2024年12月、東京で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 25日 ロイター] - 国内金利の急上昇が需給面でも株式市場の重荷になっている。債券市場の価格下落(金利上昇)が大きく、年金基金などの機関投資家によるリバランス(組み入れ比率の調整)の株売りが出やすくなっていることも、その要因の一つとの見方が出ている。日銀の積極利上げ観測が収まらない限り、投資環境面だけでなく、リバランスへの警戒感がつきまとう可能性もある。

日本株は、企業業績が底堅い中にあって、米関税懸念や日銀の継続利上げ、為替の円高基調など複数のリスク要因が警戒され、レンジ内での推移が長引いている。加えて「金利上昇基調に伴って、年金などのリバランス売りも株価の上値を抑制しているようだ」と東海東京インテリジェンス・ラボの池本卓麻マーケットアナリストは指摘する。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの年金基金は分散投資の観点から、国内外株式や内外債券などの基本ポートフォリオに基づいて資産運用している。価格変動によって各資産の比率が許容範囲を超えた場合は、リバランスを通じて調整を行う。

年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の売買動向をリバランスの観点からみると、過去最高値を付けた昨年7月にかけて株価が上昇基調にあった局面では、株式比率が高まり、リバランスの売りが警戒された。

一方、足元の株価はさえない動きが続いているが、保有資産の比率の観点からは「金利上昇で債券価格が下落する中で、相対的に株式比率が高まり売り圧力となっている可能性がある」(東海東京の池本氏)という。リバランス売りには下値を追う性質はないが、株価の上値を抑制する要因として意識される。

国内金利は、昨年7月の日銀による追加利上げを経て咋秋から上昇基調を強めている。一方、咋秋以降の信託銀の売買動向をみると、金利上昇と逆相関の様相となっている。株式を買い越した週でもその規模は低調で、昨年の終盤辺りから今年にかけては売り越しが目立ってきている。

投資部門別の年初からの売買動向累計では、企業の自社株買いを映す事業法人が1.36兆円、個人投資家が1.39兆円、それぞれ買い越している。一方、海外投資家は1.46兆円の売り越し、信託銀行は1.27兆円の売り越しとなっている。

日銀の利上げは継続が見込まれており、今後も金利に上昇圧力がかかりやすい状況は続く。フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは「利上げ局面が続く限り、リバランスの売りが断続的に出てくるリスクはつきまといそうだ」と指摘している。

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