シンプルで人気だった「Pebble」創業者が、新スマウォでリベンジを果たす

Image: Core Devices

Pebbleが復活する…。

そんな話が出たのは今年1月のこと。今なお多くのファンを持つPebbleですが、Pebble創業者のEric Migicovsky氏が初心に戻って、新たなスマートウォッチを開発。現在予約受付中です!

新会社Core Devices

スマートウォッチを開発するのは、Eric氏の新会社 Core Devices。初製品として準備するのは、2つのスマートウォッチ「Core 2 Duo」と「Core Time 2」。

公式サイトにて現在予約受付中。価格と発送時期はCore 2 Doが149ドル(約2万2000円)で7月、Core Time 2が225ドル(約3万3000円)で12月を予定。

両モデル共に、ベースとなるのはPebbleウォッチです。

伝説のスマートウォッチ Pebble

ここで一旦Core Devicesの話から離れ、その基盤となるPebbleのお話を。

Pebbleはガジェット業界の1つの伝説と言っても過言ではない存在です。

2012年、Migicovsky氏がクラウドファンディング Kickstarterにてプロジェクトを公開。当時のクラファンでは最高額となる1030万ドル(当時のレートで約8億2400万円)の資金調達に成功しました。

カラータッチスクリーンと複雑なヘルストラッキング機能の代わりに、白黒スクリーンと物理ボタンを搭載し、数日間持つ長寿バッテリースマウォは、ニッチながらも熱烈な支持を受けました。SDK(ソフトウェア開発キット)を公開して、他のスマウォプラットフォームでは実現できない自由さで、あらゆるアプリを開発者が作れたことも支持に拍車をかけました。シンプルで実用的、それがPebbleの魅力でした。

しかし、Pebbleの成功は長くは続きませんでした。インタビューでMigicovsky氏はこう語っています。

「PebbleがPebbleたるための芯となるビジョンを失ってしまいました。私たちが思う市場が求めるものに翻弄されてしまったのです」

2016年、Pebbleは資産をFitbitに売却する形で幕を閉じました。その後、FitbitはGoogle(グーグル)が買収。

今もなお2013年に発表したスマートウォッチを身につけているMigicovsky氏いわく、Pebble終了後、その代わりとなる求めるスマートウォッチに出会うことはなかったといいます。

しかし、最終的にPebbleの技術資産を持つに至ったGoogleが、そのオープンソース化へ合意したことで、誰でもPebbleライクなスマウォを開発することができるようになりました。Migicovsky氏は、再びスマートウォッチの世界に戻ることにしたのです(イマココ)。

電子ペーパースクリーンと長寿バッテリー

「PebbleがPebbleたるための芯の部分は同じです」と語るMigicovsky氏。

Core 2 Duo/Core Time 2の両モデル共に、電子ペーパースクリーン、物理ボタン、長寿バッテリーで、シンプル最優先のデザイン。昨今の流れに逆流し物理ボタンを採用したのは、手元(画面)を見ないでも電話を受けたり切ったりできるようにするため。

Image: Core Devices

Core 2 Duoの外観デザインはほぼPebble 2。バッテリー向上で、1度の充電で最大30日間OK。Pebble 2が7日だったので大きな飛躍となりますが、Migicovsky氏いわく、これはBluetoothチップの電力効率化が大きいとのこと。充電や充電器のことを考えるのがストレスだというMigicovsky氏は、「これなら最大級の休みを取って旅に出ても、充電器を持って行く必要がありません」と語っています。

Image: Core Devices

Core Time 2は電子ペーパーですが、カラー版でタッチスクリーン。ベースとなるのはPebble Time 2。これぞMigicovsky氏の夢のスマウォなんだとか。メタルフレームで心拍モニターあり。

両モデル共に、防水使用iPX8、バッテリー持ち30日、PebbleOS対応。過去のPebbleスマウォ向けに開発された1万種を超えるアプリ・盤面が利用可能です。

変わる市場と変わらないニッチ需要

Migicovsky氏がスマウォ業界から離脱している間、市場は大きく変わりました。Apple(アップル)やGarmin(ガーミン)などスマウォ大手は、ヘルス&フィットネス機能を強化。昨今加熱中のAI機能も注目されています。

Core Devicesはこの波には乗りません。「壊れていないモノを修理する必要はない」の精神で進むことを決めたからです。基本的な万歩計や睡眠トラッキング機能はあるものの、過剰な機能は求めないニッチな需要を重視します。

Migicovsky氏が過去の過ちから学んだのは、大きな賭けには出ないこと。

「大きなリスクは取りません。AppleやGarminのスマウォと競争するつもりも、何百万台と生産するつもりもないんです。

Garminみたいなウォッチが欲しい人は、単純にGarminのウォッチを買えばいいだけのこと。うちのウォッチは万人受けはしません。他社から出ているものと欲しいものがマッチしないと感じている一部の人たち向けに作られたものなんです。月に1万台しか生産しません。それで売り切れたらもうちょっと増やすかも。ゆっくり少しずつ前進するサステナブルな会社を目指しています」

関連記事: