「本当か?」トランプ関税の一部停止発表でNY証取フロア騒然

9日午後(米東部時間)にトランプ米大統領が貿易相手国・地域に対する相互関税の上乗せ税率の大半を一時停止するというニュースが伝わると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のトレーディングフロアは怒濤の叫び声で騒然となった。

  「本当なのか?」。メリディアン・エクイティ・パートナーズのシニア・マネジングパートナー、ジョナサン・コーピナ氏は「目を疑った。すべてがあまりにも急だった」と述べた。

  トランプ氏が9日未明に発効させた上乗せ税率を90日間停止するとの報道を受け、NY証取では株価が数分間で7%も上昇した。

  NY証取のトレーディングフロアで35年間働いた経験を持つフリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフ・グローバルストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は「なんてこった!衝撃と畏怖そのものだった」と話した。

  S&P500種株価指数は9.5%高で終了し、2008年10月以来最大の値上がりを記録した。

  トランプ大統領による2日の相互関税発表の後、S&P500種が急落し、ウォール街は事実上、救済措置を懇願しているも同然の状態だった。7日と8日に同指数は一時、直近高値から20%下落したものの、トランプ氏はトレーダーの不安を和らげることに消極的だった。

  しかし、9日に株価が小幅な上昇と下落を繰り返す中で政権が対応に乗り出した。トランプ氏は56カ国と欧州連合(EU)に対する相互関税の発効から約13時間後に上乗せ税率の適用を90日間停止すると発表した。

  コーピナ氏は「フロアは騒然となった。『何事だ?』、『ベッセント長官は何と言った?』、『関税は停止されたのか?』と誰もが叫び、本当なのか確かめようとした」と語った。

  ただ、ニュースが伝わった後も市場に不安は残った。10%の基本税率は継続され、トランプ大統領は中国との貿易戦争をエスカレートし、対中関税率を125%に引き上げた。

  「危機はひとまず回避されたが、次に何が起こるのか。株式市場には多大な損害が生じ、回復の道のりは長い」とウッズ氏は言う。

  トランプ氏が貿易の惨事の瀬戸際から一歩引いたことで多くの希望が生まれたが、同氏の計画には依然として大きな不確実性がある。特に、トランプ関税に対抗し中国が米国製品への関税率を84%に引き上げたことから、米中間の全面的な貿易戦争のリスクは依然として残っている。

  30年にわたってニューヨーク証取のトレーディングフロアで働いてきたコーピナ氏は「ニュースの見出しやツイートで、状況がすぐに一変する可能性もある」と述べた。

原題:‘Is It Real?!’ NYSE Trading Floor Erupts as Trump Pauses Tariffs (抜粋)

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