いぎなり東北産「武道館はゴールじゃなくてスタート」レッスン生のままたどり着いた夢のステージ(ライブレポート / 写真72枚)

スターダストプロモーションに所属する東北発のアイドルグループ・いぎなり東北産が、7月9日に東京・日本武道館でワンマンライブ「TOHOKU9」を開催した。

今年8月9日に結成10周年を迎えるいぎなり東北産。かねてより日本武道館で単独公演を行うことを目標に掲げてきた彼女たちは昨年12月29日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行われたワンマンライブのステージ上で、その夢がついに現実となることを知り喜びを爆発させた。長いキャリアを持ついぎなり東北産だが、スターダストプロモーション内では今も仙台営業所のレッスン生グループというポジション。同事務所のレッスン生が日本武道館で単独公演を行うのは初めての出来事だ。ローカルアイドルであることに誇りを持ち、下積みを重ね続けて夢のステージにたどりついた“TOHOKU9”の気合いと覚悟が、10年間の集大成とも言える計25曲のパフォーマンスに込められた。

武道館公演の幕開けを飾った楽曲は

チケットは見事ソールドアウトし、約8000人の皆産(いぎなり東北産ファンの呼称)で埋まった日本武道館。オープニングムービーの上映を経て、橘花怜、律月ひかる、北美梨寧、安杜羽加、吉瀬真珠、桜ひなの、藤谷美海、伊達花彩、葉月結菜が横一列になって姿を現すと、興奮の色が混ざった歓声が沸き起こる。大きな期待感が渦巻く中、記念すべきこの公演の幕開けを飾った楽曲は「東京アレルギー」。東京への敵対心を剥き出しにした歌が東京のド真ん中で響く。そして楽曲終盤の「あと九段下りるだけ」「とうとう立つこのステージ!」というフレーズに特別な意味が宿った。ステージ前方で炎が噴き上がったり、メンバーとともに観客も声を上げながら拳を突き上げたりと、いきなりハイボルテージなライブが展開されたが、TikTokで“バズ”を生み出した「わざとあざとエキスパート」が始まり、曲中に9人それぞれが弾ける笑顔で自己紹介をすると開放的なムードが広がる。続いて9人は演歌調のナンバー「百花繚乱物語」でセンターステージへ飛び出し、東北愛を詰め込んだ「ワンダフル東北」でうちわを掲げるなど、序盤からフルスロットルのパフォーマンスを繰り広げた。

MCに入ると、メンバーは日本武道館のステージに立てたこと、そしてこの会場を満員にできた喜びを全身で表現。リーダーの橘は「来たぜ! 日本武道館!」と叫び、「この景色を見たら胸がいっぱいで、夢って大好きなみんなと叶えるからこそ意味があって幸せなんだと気付きました!」とあふれ出す感情を言葉にした。「皆さんどんな東北産が見たいですか!?」「ますは、かわいい東北産を見てほしいな」とメンバーが微笑んだあとは、キュートな楽曲を並べたブロックへ。「ツンデレラ」では小さなピンクの傘、「チョコスプレー♡ 」ではドーナツをアクセントに取り入れたパフォーマンスでメルヘンな世界観が構築され、「feeling」の曲中にはステージに設置された複数のミラーボールが場内をきらびやかに照らした。

「3000days」から「負けないうた」へ

このライブで1つのハイライトとなった楽曲が、東日本大震災から3000日が経過した2019年に初披露された「3000days」。伊達が「次に歌うのは、私たちにしか歌えない曲です。この曲を披露するのはこれが最後になります」と宣言したのち、いぎなり東北産は9本のマイクスタンドの前に立ち、故郷へ思いを馳せつつ哀傷がにじむ歌声を響かせる。間奏のパートでは北美が吹くハーモニカの音色が楽曲の情感を強調した。そして未来へ突き進む9人の決意を示すように間髪をいれずに「負けないうた」へ。ステージ上で円陣を組む姿が、10年を通して強固になったメンバー間の強い絆を印象付ける。さらに松隈ケンタ提供の新曲「背徳のエビデンス」や、シンガロングで皆産との一体感を高める「ナイツオブナインズ」など、歌に感情が乗る渾身のパフォーマンスが連続した。

キャラ被りすることなくメンバー1人ひとりが強烈な個性を放っているいぎなり東北産。それぞれの特徴をビジュアルに落とし込んだ、メンバーごとに異なるデザインの新衣装に着替えたのち、彼女たちはエネルギッシュな歌とダンスでライブ後半を駆け抜けていく。「BUBBLE POPPIN」ではメンバーの煽りを受けて観客も一緒になって体を動かし、日本武道館が巨大なダンスフロアと化す中、桜の伸びやかな歌声が天井まで突き抜けた。また「Viper」ではダンサーがステージに加わり、“ダンスキラーギャル”のキャッチコピーを持つ安杜を中心にスタイリッシュで迫力あふれるパフォーマンスが繰り広げられた。

その後、橘は「ここに立てているのは奇跡なんかじゃなくて……こう言い切れるのは、みんながずっとそばにいてくれたからで。みんなのことを仲間だと思っているし、みんなで武道館のステージに立っていると思っているから」と熱い思いを口にする。これを合図に9人は客席の皆産も巻き込んで会場全体で“円陣”を組み、「いぎなり東北産、がんばるっちゃー!」と声をそろえて気合いを入れ直した。そして公演はいよいよラストスパートへ。「シャチョサン」「No Make」「服を着て、恋したい」などライブの人気曲が畳みかけられ、伊達が主役の楽曲「伊達サンバ」では炎が噴き上がる演出も相まって場内のボルテージが右肩上がりに上昇する。そして「うぢらとおめだづ!」でライブの勢いをより一層加速させたのち、いぎなり東北産が日本武道館のラストに披露したのは「天下一品 ~みちのく革命~ 2020ver.」。初期からライブの大事な場面で歌われ続けてきた、このグループを象徴する代表曲だ。いつも以上に力の入った9人の歌声が会場いっぱいに響き、日本武道館公演の成功を祝すようにきらびやかな金テープが放たれた。

大歓声が起きたメジャーデビュー発表の瞬間

「デビューするっちゃいぎなり!!」という「天下一品 ~みちのく革命~ 2020ver.」の最後のフレーズをマイクに乗せ、計25曲のパフォーマンスを完遂したいぎなり東北産。ラストの楽曲が終わるやいなやスクリーンに特報映像が流れ、結成10周年を迎えるいぎなり東北産から10個のお知らせが告げられた。アニメ「彼女、お借りします 4期」とのコラボが決定したこと、「週刊ビッグコミックスピリッツ」の表紙を飾ること、セゾンカードとのタイアップが決定したこと、10月7日からラウンドワンとのコラボが展開されること、11月15日に「いぎなり秋田本校」が開催されること、12月7日に宮城・仙台で「いぎなりクリスマス2025」が行われること、初の写真集が発売されること、2026年1月より初のZeppツアーが開催されること、2026年に東京・Kanadevia Hallと宮城・ゼビオアリーナ仙台でワンマンライブが行われることが明らかに。続いて、メンバーが工場で何かを作る様子が映し出されると、客席の皆産は固唾をのんでスクリーンを見つめる。そして9人が完成させたものがエイベックスのロゴのモニュメントであることが明かされた瞬間、割れんばかりの歓声が巻き起こった。いぎなり東北産は結成10周年記念日の8月9日にエイベックスよりメジャーデビューを果たし、ついにレッスン生を卒業することになる。

涙を浮かべながら皆産と喜びを分かち合ったメンバーは、1人ずつ日本武道館公演の感想を語り、胸の内を丁寧に伝えていく。橘の「日本武道館をゴールじゃなくてスタートにしたいと言っていたけど、そのスタートに9人とみんなで立って、夢のその先に走り出せたことがうれしいです」という言葉が感動を誘い、場内に万感の思いが広がる中、最後はメンバーと皆産が「ありがとうございました!」と感謝の気持ちを伝え合った。

こうして大盛況の中で終幕したいぎなり東北産の日本武道館公演。YouTubeでは新曲「背徳のエビデンス」のライブ映像が公開されているので、現地で初披露の瞬間を目撃した人も会場に足を運べなかった人もぜひチェックを。

いぎなり東北産「背徳のエビデンス」2025年7月9日TOHOKU9 日本武道館

いぎなり東北産 avex traxよりメジャーデビュー決定

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セットリスト

いぎなり東北産「TOHOKU9」2025年7月14日 日本武道館

01. 東京アレルギー02. わざとあざとエキスパート03. 百花繚乱物語04. あーぐれす05. ワンダフル東北06. ツンデレラ07. チョコスプレー♡08. feeling09. 3000days10. 負けないうた11. 背徳のエビデンス12. Let's シンガソング13. ナイツオブナインズ14. おのぼりガール15. BUBBLE POPPIN16. Viper17. いただきランチャー18. シャチョサン19. Trophy Girl20. No Make21. 服を着て、恋したい22. 沼れ!マイラバー23. 伊達サンバ24. うぢらとおめだづ!

25. 天下一品 ~みちのく革命~ 2020ver.


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