「中国人観光客が寄り付かない」「営業妨害」 毎週火・金開催の反中デモにぼやく明洞の商店主たち /ソウル
「観光客相手に物を売って暮らそうとしてるのに、完全に邪魔して、侮辱してののしって締め出して…客を追い出したら営業妨害じゃないですか? 業務妨害」 【写真】反中デモの告知ポスターと明洞でのデモ行進の様子 李在明(イ・ジェミョン)大統領が9月9日、竜山大統領室で開かれた国務会議(閣議)で、ソウル市中区明洞などで繰り広げられている反中傾向のデモについてこのように語った。「今は観光客を増やさなければならないのに、特定国の観光客を侮辱する集会をやっているなんて」というわけだ。
続いて李大統領は「(売り場の)中に入ってきた人を追い出すことだけが業務妨害か」「それはどういう表現の自由か。邪魔しているだけ」とも述べた。 朝鮮ビズが確認した結果、このような反中傾向の集会は9カ月続いている。明洞の中心街で「チャイナ・アウト(CHINA OUT)」などのスローガンを叫びながら行進もしている。明洞の商人たちは「中国人観光客が怖がってあまり来ない」と苦境を訴えた。 ■明洞の通りを行進しながら中国人をさげすむ表現の歌も合唱 明洞で反中傾向の集会が最初に開催されたのは今年1月31日のこと。当時、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の支持者たちは「先の総選挙は不正選挙で、その背後に中国政府がいる」という疑惑を提起し、中国大使館に近い明洞中央郵便局前でデモを繰り広げた。デモ隊は「ノー・チャイナ(NO CHINA)」と書かれたプラカードを持ち、「ゲット・アウト(get out)習近平」というスローガンを叫んだ。 その後も、明洞では反中傾向の集会が執拗(しつよう)に続いた。現在までに30回以上の集会があった。李在明政権が発足した6月以降は「自由大学」という団体が毎週火曜日の夜に「中国大使館前不正選挙介入糾弾」などの集会を開いている。8月からは「民草決死隊」という団体が毎週金曜日の夜に「明洞滅共行進」集会を行っている。
「自由大学」の集会参加者たちは太極旗と星条旗を持って明洞中心部の通りを行進する。9月9日に実施された集会で、参加者たちは「尹大統領釈放」を叫んだ。中国人をさげすむ表現を使って「チャンX、北傀(ほっかい)、アカXXたち、大韓民国からさあ早く消えろ」という歌詞の歌も歌った。 集会参加者たちは「中国人観光客誘致より自国民の安全が優先」というプラカードも持った。韓国政府は経済活性化のため、9月29日から中国人団体観光客が一時的にノービザ入国できるようにした。 ■「このごろ中国人はほとんど来ない」「日本人客も『危ない』と心配してる」 反中傾向の集会が9カ月続いていることから、明洞の「華商」たちは営業面で打撃を受けたという。ある匿名の中華料理店オーナーは「デモのメンバーは、直接的な被害を与えることはないが、行進しながら路地に入ってくると店の中にいてもうるさい」「通行が規制されて客も減った」と語った。 ある露店オーナーは「私たちは、うるさいからデモはちょっとやめたらと思っている」「中国の人々は『危害を加えられるかもしれない』と思ってデモがあると明洞の中に入ってこない」と話した。 明洞の通りで化粧品売り場を営んでいる48歳のオーナーは「このごろ中国人はほとんど来ない。(モバイルメッセンジャーの)ウィーチャットで明洞の反中デモが知られるようになり『韓国は危険なんじゃないか』という話が出回ったという」「日本人観光客も『あまりにうるさい』『危険なんじゃないか』と尋ねる」と語った。 別の化粧品売り場に勤める42歳の従業員は「デモの日の売り上げは普段より10%から20%ほど減る」「中国人だけでなく日本や他の国の観光客も『なんであんなこと』という目でデモ隊を見ている」と話した。 イ・ホジュン記者、ソン・ドクホ記者