日銀審議委員に小枝氏、超低金利長期化の悪影響を指摘-過去の発言集

氏兼敬子、伊藤純夫

政府は28日、日本銀行の審議委員に小枝淳子早稲田大学教授を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。同氏はマクロ経済や国際金融が専門で、金融政策運営に関しては日銀が進める正常化路線を支持する可能性が高い。

  小枝氏(49)は、3月25日に任期満了を迎える安達誠司審議委員の後任となる。昨年4月の日本経済新聞への寄稿では、昨年3月のマイナス金利解除など大規模緩和からの脱却を評価。2022年12月の同紙への寄稿では、超低金利政策の長期化による悪影響について指摘していた。

  小枝氏の金融政策に関する過去の発言は以下の通り。

マイナス金利解除:

  • 3月の日銀金融政策決定会合における一連の金融政策変更は、プラスの金利環境に回帰する歴史的に大きなステップだった
  • ゼロ金利の継続期間をとらえる指標として知られる「潜在金利(シャドーレート、影の金利)」をみると、既に23年末には0%近傍だった。よってタイミング的にもマイナス金利を解除すべき時期に達していたといえる

 (24年4月、日本経済新聞「経済教室」)

超低金利、利上げ:

  • 今後の金融政策の方向性を考える上では、長引く超低金利環境により蓄積されてきたマイナス面に目を向けることが重要
  • こうしたマイナス面を考えると、金利は10年以下のゾーンでもプラス域で変動し現在と将来の価値をつなぐ役割を果たす通常の状態になるべく早く戻すことが望ましい
  • 利上げの際は、日本国債市場の需給に大きな影響を与える金融政策と財政政策が同じ方向を向くことが必要
  • 財政要因により金融政策の機動性が失われることがあってはならない

(22年12月、日本経済新聞「経済教室」)

国債発行:

  • 低金利がずっと続いている今の状況がマクロ経済的に望ましいことなのか、疑問に思っている。世界的にも低金利で、新型コロナの影響もあり、国債増発を伴う財政出動を容認する雰囲気があるが、特に日本ではまるで打ち出の小づちのように国債を発行し続けていて大丈夫なのか、とも思う

(20年10月、日本経済学会サテライトイベント) 

マイナス金利撤廃:

  • 日銀が今、マイナス金利を撤廃した場合の影響について、まだ実証分析してないので断定はできないとしつつ、総括的な検証を行った16年9月に比べて景気が良く、物価上昇率も高く、潜在成長率も今後上昇が見込まれるのであれば、「利上げをした方がしなかった時に比べ、経済活動や物価を押し上げる方向に働く可能性がある」と述べた

(18年11月、ブルームバーグ・ニュースとのインタビュー

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