八王子は「東京」を名乗っていいのか? マツコが「納得いかない」「23区感出すな」と語る理由! 移動のリアルから考える
八王子(画像:写真AC)
東京都心で桜が開花する少し前の2025年3月17日、マツコ・デラックスのひとつの発言が静かな波紋を広げた。
「東京出身っていって、「八王子」としてじゃなくて「東京」として語るのが納得いかないわ~」 「八王子を馬鹿にしているわけではないのよ」
「東京の多摩地区問題ってあるわよ。地方に行ったときに、どさくさにまぐれて“23区感”出すじゃない。多摩の人って。東京から来ましたって」(以上『スポニチアネックス』2025年3月17日付け記事)
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八王子市の位置(画像:OpenStreetMap)
八王子市は東京都多摩地域南部に位置し、東京23区に次いで1917(大正6)年に市制を施行した歴史ある都市である。戦国期には後北条氏や徳川氏の軍事拠点として城下町が形成され、江戸時代には甲州街道の宿場町「八王子宿」として栄えた。また、養蚕と絹織物の地場産業が発展し、桑都(そうと)の美称で知られた。
明治以降は生糸や織物の流通拠点として発展。甲信地方からの生糸が集まり、横浜港へ輸送されることで外貨獲得に貢献した。市は多摩地域の行政・商業の中心となり、戦後は都心から約40kmの立地を背景にベッドタウン化が進行。1970年代以降、多摩ニュータウンや八王子みなみ野の開発が進み、現在では人口約58万人と多摩地域最多を誇る。
市内には大学や短大、高専が23校所在し、約11万人の学生が集う学術都市でもある。高尾山など自然観光資源にも恵まれ、年間300万人超の登山者を集めるなど観光面でも存在感を発揮。2020年には日本遺産にも認定された。
交通の要衝としても古来より重要であり、現在も中央道・圏央道・国道20号が交差し、鉄道ではJR中央線・横浜線・京王線が接続する。東京都初の中核市・業務核都市に指定されるなど、周辺自治体との広域連携も進んでいる。