「日本では食べたいものが見つからない」 万博ルクセンブルク館スタッフが驚いた日本の食文化 「工夫されてしまっている」と感じたこととは
2025年大阪・関西万博の会期も残り1か月となりました。連日多くの来場者で賑わう万博会場では、各パビリオンで働く外国人スタッフたちが訪問者を迎えています。デジタル技術を用いて、自然や人々の暮らしなどを紹介している、ルクセンブルクパビリオン。そこでレストランの調理担当のレニーさんは、7月に初来日して以来、日本の食文化のある特徴に驚いているのだそう。いったい、どのようなことに気づいたのでしょうか。
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ホスピタリティを学ぶルクセンブルクの学生
レニーさんはルクセンブルク出身で、現在ルクセンブルクパビリオンでレストランの調理を担当しています。自国ではホスピタリティなどを勉強している学生で、7月初めに来日し、万博終了まで日本に滞在する予定です。
「日本に来るのは初めてだけれど、実は日本のことはよく知っているんだ。おじが1990年代に日本で勉強していて、そのときに出会ったのが今の奥さんで日本人。いま、ふたりはルクセンブルクに住んでいるんだけれど、ふたりからよく日本のことを聞いていて、日本には馴染みがあるから、初めての日本でもそんなに驚きはないんだ」
とはいえ、実際に日本で生活してみると、予想していなかった発見があったといいます。
「日本人用に好みが工夫されてしまっている」 海外由来でも“日本食”に変化
注目したのは、日本の食文化の独特な特徴でした。
「実は日本では自分が食べたいと思うものがなかなか見つからないんだ。ルクセンブルクではイタリア料理、中華、日本食、インド料理、っていうようにしっかり分かれているんだけど、日本は当たり前だけど基本的に日本食だよね」
ルクセンブルクのような多文化国家では、各国の料理がそれぞれの伝統的なスタイルで提供されることが一般的です。一方、日本では海外発祥であったり、由来があったりする料理も日本に根ざした独自の発展を遂げています。
「たとえば日本でもピザはある。あるんだけど、ピザも日本人用に好みが工夫されてしまっている。だからもともとのイタリアのようなピザではない。そういう食べ物が日本は多いかな、って感じるんだ」
レニーさんの指摘通り、日本には海外由来の料理を日本人の嗜好に合わせて独自に発展させたメニューが数多く存在します。ケチャップベースのナポリタンスパゲティ、カレーライス、オムライス、ラーメンなどがその代表例です。
万博をきっかけに初めて訪れた異国で、「日本化」された食文化を発見したレニーさん。それは日本人の味覚への適応力だけでなく、独自性を示す興味深い文化的特徴なのかもしれませんね。
(Hint-Pot編集部)