【米CPI統計】FRBは当面「様子見」モードへ-市場関係者の見方

1月の米消費者物価指数(CPI)統計は、基調的なインフレであるコアCPIが前月比0.4%上昇と、市場予想の0.3%上昇を上回り、昨年3月以来の大幅上昇となった。

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  CPI統計が全般的に強い内容となったことで、米国債利回りは急上昇。円売り、ドル買いが加速し、円は一時1.3%安の1ドル=154円45銭と、昨年12月19日以来の大幅な下げを記録した。金利スワップ市場では次回の米利下げ予想が発表前の9月から12月に後退。年内は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが1回にとどまるとの見方が強まった。

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  同統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。

◎アリアンツ・インベストメント・マネジメントのチャーリー・リプリー氏:

この日のデータは、利下げを長期にわたって見送るというパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の決定を再確認するものだ。全体として、今回のインフレデータはFRBが年内に利下げを実施できるのか、市場参加者に再考を迫るだろう。特に、物価上昇がホワイトハウスによる関税措置と関連していない可能性が高いことを踏まえるとなおさらだ。

◎チャールズ・シュワブUKのリチャード・フリン氏:

他の条件が全て同じだと想定した場合、予想を上回るインフレが示されれば米連邦公開市場委員会(FOMC)は早期の利下げには動かない可能性が高い。そうなれば、ドルの上昇につながる。ドル高は経済における、そして関税に伴うインフレ圧力を一部相殺する上で助けになり得る。また米国債を保有する妙味を高め、利回りの上昇圧力の緩和につながる。

◎プラント・モラン・ファイナンシャル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、ジム・ベアード氏:

パウエルFRB議長ら金融当局者は、目先に追加緩和を行う必要性は低下していると認識しており、当面は「様子見」のアプローチで臨むだろう。利上げは選択肢にないもようだが、持続的なインフレ再燃があれば、状況は変わり得る。

◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのホイットニー・ワトソン氏:

予想を上回る強い内容のCPIの発表を受け、FOMCの緩和に対する慎重な姿勢がさらに強まる可能性が高い。底堅い労働市場も、忍耐強く対応する余地を与えている。FOMCは当面「様子見モード」を維持する可能性が高く、来月の会合では政策金利を据え置くと予想される。

◎リーガン・キャピタルのスカイラー・ウィナンド氏:

今回のCPIが非常に強い内容だったことから、FOMCは少なくとも2025年いっぱいは政策金利を据え置くだろう。インフレとインフレ期待の両方が上昇しており、FOMCは高めの金利を長期にわたって維持することでこの状況に対応する必要がある。現時点でFOMCにできるのは様子見し、経済指標が変化してインフレ面でのさらなる進展を示唆するのを期待することだけだ。消費者物価ないしインフレ期待がさらに上昇すれば、FOMCが次に打つ手は短期金利の引き上げになる可能性は十分にある。

◎ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのサミーア・サマナ氏:

予想を上回るCPIは、インフレ過熱に対する投資家の懸念を裏付けるものであり、米金融当局は(利下げではなく)様子見を続けることになるだろう。当社は以前からインフレをリスク要因として懸念しており、リスク市場は上昇する可能性があるものの、過去2年間よりも不安定になるだろうと考えている。調整局面を利用して米国の大型株やエネルギー、金融、工業、通信サービスセクターへの投資を増やすべきだ。10年債利回りが4.5-5%に向かって上昇する局面では、ポートフォリオのデュレーションを長期化し、魅力的な利回りを確保すべきだろう。

◎ペッパーストーンのマイケル・ブラウン氏:

これらの数字を受け、米金融当局は辛抱強く現状を維持し、追加利下げを急ぐことはないだろう。従って、2025年前半に利下げが実施される可能性は現在では非常に低いと思われる。

原題:Wall Street Set for Worst CPI Day in Nearly a Year: Markets Wrap

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