アマゾンの先住民保護区に現地語で聖書の一節を唱えるデバイスがこっそり配布されていることが判明

メモ

ブラジル政府から保護対象に指定されていて、不用意な接触が禁じられている先住民の手に、聖書の一節を読み上げる特別な音声再生機器が渡っていることが明らかになりました。

Missionaries using secret audio devices to evangelise Brazil’s isolated peoples | Amazon rainforest | The Guardian

https://www.theguardian.com/global-development/2025/jul/27/missionaries-using-secret-audio-devices-to-evangelise-brazils-isolated-peoples

イギリス紙The Guardianとブラジル紙オ・グローボの共同調査によると、ブラジルとペルーの国境付近に住む先住民、コルボ族の間に、ポルトガル語とスペイン語で聖書の一節を朗読する太陽光発電式の機器が流通していることが分かったとのこと。 最初に発見された装置はスマートフォンサイズの機器で、ソーラーパネルにより電源がなくとも再生を続けることができるものでした。調査では、最大7台の機器が存在することが報告されました。

ブラジル政府は、コルボ族が住む地域での布教活動を許可していません。1987年に制定された同国の政策では、先住民自身が他者との接触を決定しなければならないと定められており、自己決定権が尊重されています。また、不用意な疫病の感染を防ぐため、立ち入りも厳格に制限されています。 これは、先住民への布教の試みとしては初めてではないと考えられています。新型コロナウイルス感染症パンデミックの直前には、福音派教会に所属するアメリカ人とブラジル人のグループがコルボ族と接触する計画を立てていたと報告されていました。この接触計画を立てていたのは3人の宣教師で、Missão Novas Tribos do Brasil(ブラジル新部族宣教団)およびAsas de Socorro(救援の翼)として知られる2つの人道支援団体と関係があるとされています。3人はコロナ禍の間、裁判所の命令により先住民領土への立ち入りを禁止されていました。

コルボ族の手元に渡ったのは、福音伝道を行う財団、In Touch Ministriesの「メッセンジャー」と呼ばれる機器でした。In Touch Ministriesの最高執行責任者であるセス・グレイ氏は、先住民への布教活動には関与していないと説明し、メッセンジャーはブラジルの政策に違反してまでジャングルに存在するべきではないと述べたとのことです。

先住民地域を管轄するカルドヴァン・ダ・シルバ・ソエイロ軍曹は「基地に駐在する先住民からメッセンジャーについて教えられた」と述べ、「エホバの証人と関連しているとされる宣教師が存在する」と付け加えました。 また、こうした音声再生機器に加えてドローンの存在も報告されています。宣教団体のものなのか、あるいは麻薬密売人や漁師など他の人間が飛ばしているのかは分かっておらず、カルドヴァン軍曹らにはドローンを撃墜するよう命令が下っているとのことです。 先住民の権利を監視する連邦検察庁のエージェント、ダニエル・ルイス・ダルベルト氏は「これはステルス的で、レーダーに捉えられない改宗活動だ」と指摘し、このような秘密裏の布教は高度化してほぼ対抗不能なものとなっていると話しました。

・関連記事 ネイティブアメリカンにキリスト教を広めるためにスペイン人は「太陽」を利用した - GIGAZINE

牧師や司祭など約30人の聖職者が研究室で高用量のマジックマッシュルームを摂取した結果「人生が変わる経験」をして本当に人生が変わってしまった実例 - GIGAZINE

キリスト教の正典である福音書の起源に迫る「Q資料仮説」とは? - GIGAZINE

iPhoneで「エルサレム」と入力するとパレスチナの旗の絵文字が予測変換で表示されて物議を醸す、Appleはバグであり修正予定と説明 - GIGAZINE

関連記事: