加藤財務相、財政運営巡る懸念が影響との見方認識-国債相場の変動で

横山恵利香

  • 市場の声に丁寧に対応しながら国債管理政策をしっかり運営する
  • 南アでのG20財務相・中銀総裁会議の閉幕に合わせて記者会見

加藤勝信財務相は参院選を控えて変動が大きくなっている国債相場について、将来的な財政運営を巡る懸念が影響しているとの見方があることを認識しているとし、こうした市場の声に丁寧に対応すると述べた。

   20日投開票の参院選で自民、公明の連立与党の非改選を含めた議席数が過半数を下回る可能性が報じられ、国債利回りは今週、大幅に上昇。経済政策が不安定になり、歳出が膨らむリスクが意識された。

  加藤財務相は「これからの財政運営に対するさまざまな懸念が金融市場に反映されているのではないかとの指摘があることも、十分承知している」と述べた。南アフリカ・ダーバン近郊で行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕に合わせ、現地時間18日に記者会見を行った。

  「引き続き、そうした市場の声には丁寧に対応しながら、国債管理政策をしっかり運営する」と加藤氏は話した。

  米国は8月1日から日本からの輸入品に25%の関税を課す計画。参院選で与党が議席を減らした場合、米国との関税交渉にも影響が及ぶシナリオを投資家は憂慮している。自動車メーカーなど輸出企業の市場シェアが縮小し、為替市場で円に圧力がかかる可能性がある。

  加藤財務相は関税措置の早期見直しに向け、引き続き米国との率直かつ建設的な協議を継続していくと、G20会合に合わせて開催された主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議で述べたと説明した。

  加藤氏はまた、ベッセント米財務長官がG7会議にオンラインで参加したと明らかにした。ベッセント長官は大阪・関西万博の米国ナショナルデー出席のため日本を訪れた。

  G20は共同声明を採択。開催国の南アが掲げたテーマへの米国の反対や関税問題などで懐疑的な見方もあった中、G20としては今年初めて採択にこぎ着けた。

関連記事:G20財務相・中銀総裁、共同声明を採択-貿易戦争の緊張下で合意形成

  加藤財務相は「世界経済が直面する高い不確実性とさまざまなリスクにG20が結束して対処していくという観点から、共同声明を発出できたことは非常に有意義だ」と述べた。

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原題:Japan’s Kato Aware Market Views Over Debt Driving Bonds(抜粋)

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