ソフトバンクG出資のインドネシア新興企業、業績を水増し-内部調査

ソフトバンクグループなどが出資するインドネシアの水産テクノロジー新興企業、イーフィッシャリーは数年にわたって売上高と利益を水増ししていた可能性がある。同社の会計に関する内部告発をきっかけにした内部調査で明らかになった。

  予備的な調査結果では、経営陣が昨年9月までの9カ月間に売上高を6億ドル(約930億円)近く水増ししていたと推計された。投資家の間で回覧された52ページにおよぶ調査報告書の草案をブルームバーグ・ニュースが確認した。報告された数字の75%余りが偽りだったことを意味するという。同社にはテマセク・ホールディングスも出資している。

  インドネシアの魚やエビの養殖業者に給餌機を供給しているイーフィッシャリーは、同国のスタートアップ界の寵児(ちょうじ)で、アラブ首長国連邦(UAE)の王族でアブダビ投資庁の会長を務めるシェイク・タフヌーン・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン氏が所有する人工知能(AI)企業G42が直近の資金調達ラウンドを支援した際には、14億ドルと評価されていた。同社はインドネシア水産業の近代化を目指し、何億ドルもの資金を調達。養殖業者にスマート給餌装置と飼料を供給する一方、水産物を買い取ってより広い市場に販売している。

  同社は2024年1-9月に1600万ドルの利益を上げたと投資家に報告したが、取締役会が委託した調査では、実際には3540万ドルの損失を出していた。

  この期間の売上高は、投資家に伝えられていた7億5200万ドルではなく、1億5700万ドルと推計された。経営陣は数年にわたって売上高と利益を水増ししていたという。

  事情に詳しい関係者によると、会計が正確ではないと内部告発者が役員に訴えたことをきっかけに調査が始まった。取締役会は昨年12月に正式な調査を依頼し、会計上の不整合が発覚した後、共同創業者であり最高経営責任者(CEO)のギブラン・フザイファ氏を解任した。

  フザイファ氏はコメントを求めるメッセージに応答しなかった。テマセクとソフトバンクGはコメントを拒否し、G42の代表者は問い合わせにすぐには応じなかった。

原題:SoftBank-Backed Fish Startup Allegedly Faked Most of Its Sales(抜粋)

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