【日本市況】日経平均3万8000円割れ、米景気懸念-債券上昇し円下落
26日の日本市場では日経平均株価が3万8000円を下回った。米国の消費者信頼感指数が大きく落ち込み、米景気の先行き不安が高まっている。債券は米長期金利の低下を受けて上昇(金利は低下)。円の対ドル相場は1ドル=149円台前半に小幅下落している。
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2月の米消費者信頼感指数は2021年8月以来の大幅な落ち込みを記録した。トランプ大統領は25日、銅への輸入関税賦課につながる可能性がある調査を商務省に指示する大統領令に署名。米下院は25日の本会議で、25会計年度(24年10月-25年9月)の予算決議案を賛成217、反対215の賛成多数で可決した。
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トランプ大統領が新たな関税を次々に発表し、米景気に対する懸念が強まる中、「マーケット全体のムードが悲観的になっている」とT&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは語る。
債券は日本銀行の植田和男総裁の発言をきっかけとした買い戻しが続いており、長期金利は低下した。もっとも、日銀が夏場には利上げするとの見方は変わっておらず、金利先高観は消えていない。スワップ(OIS)市場は6月の利上げを5割以上、9月までの利上げを9割以上の確率で織り込んでいる。
国内株式・債券・為替相場の動き-午後1時27分現在- 東証株価指数(TOPIX)は前日比1.0%安の2696.11
- 日経平均株価は1.1%安の3万7831円12銭
- 長期国債先物3月物は一時前日比67銭高の140円33銭に上昇後、上げ幅を縮小
- 新発10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低い1.35%
- 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.2%安の149円36銭
株式
株式相場は続落。T&Dアセットの酒井氏はハイテク株の下落について、米エヌビディアの決算発表を前に投資家が買いを控えている可能性が高いと話す。アナリストが投資判断を引き下げた東京エレクトロンが大幅安。
長期金利の低下を受けて金融株も軒並み安い。一方、不動産株は上昇。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、ウクライナ情勢が改善に向かえばインフレが収まり、グローバルに金利が低下する可能性があるため物色されていると言う。
債券
債券相場は上昇。米国で消費者信頼感指数の落ち込みを受けて長期金利が低下した流れを引き継いだ。買い一巡後は日銀の利上げへの警戒感から上げ幅を縮小している。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、金利の上昇局面で慌てて売った投資家もいたようで、植田日銀総裁の発言をきっかけに買い戻す動きが続いていると話す。ただ、賃金や物価の上昇を背景に「日銀が6月か7月に利上げするとの見方を揺るがす材料は出ておらず、近いうちに再び金利上昇を試す局面に入る」とみている。
為替
円相場は1ドル=149円台前半に小幅下落。米国でトランプ政権の政策による景気減速懸念を背景にドル売りが先行した後、国内企業の実需のドル買いと米長期金利が時間外取引で上昇したことを受けてドルが買われ、円が反落している。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、足元の円の下落に特段の材料はないとして、実需を中心に水準感からのドル買い・円売りが入っていると語る。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、米国で企業や家計で景気減速懸念が強まっており、「過去3年で見られたように懸念だけで済むのか、実際に減速するのかが焦点だ」と指摘。ドルは「サポートになっていた148円65銭を本格的に割り込んでくると、チャート上は145円が見えてくる」と言う。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。