高市総裁を「極右」と警戒する韓国メディア…それでも国民は意外と冷静なワケ(ダイヤモンド・オンライン)
高市早苗氏が自民党総裁選に勝利し、新首相に就任する公算だというニュースは、隣国・韓国でも大きく報じられている。安倍派の政治家として知られる高市氏に対する、韓国での反応をまとめた。(韓国在住ライター 田中美蘭) 【この記事の画像を見る】 ● 高市早苗氏を「極右」「女性版安倍」と報じた韓国メディア 2025年10月4日、日本の歴史に新たな1ページが刻まれた。自民党総裁選挙で高市早苗氏が総裁に選出され、日本初の女性首相が誕生する見込みとなったのだ。 今回の自民党総裁選は韓国でも大きな関心を集めていた。序盤では小泉進次郎氏が優勢という見方が支配的だったものの、小泉氏陣営のやらせ問題が問題視されたことで同氏は失速した、と報じられた。選挙戦終盤には韓国メディアでも「高市氏が有力」という見方が定着していた。 4日の投票結果は韓国でも速報で伝えられた。高市早苗氏が、久々に注目、かつ警戒すべき相手と見ていることが報道の論調から感じられる。ただし、最初から高市氏を「極右」と表現して報じているのは、MBCやハンギョレ新聞といった左派系メディアに限られており、この程度の反応は想定内と言えるだろう。
● なぜ韓国左派は高市氏を警戒するのか 韓国、とりわけ左派を中心に高市氏に対する警戒心が強い最大の理由は、高市氏の背後にある故・安倍晋三氏の存在である。前述の「極右」のほかに、高市氏を「女性版安倍」と表現したメディアもあり、「高市氏は安倍氏の影響を強く受け、その政治思想を踏襲している」という見方がされていることがうかがえる。 しかし、2022年の安倍氏逝去後、高市氏のように安倍氏と懇意にしていた議員や安倍派の議員たちが露骨に冷遇を受けていたのだろう。安倍氏の死は高市氏にとって大きな痛手であり、今回の総裁選での勝利は、喜びとともに、安倍氏の遺志を無駄にしないという安倍派議員たちの強い決意の表れ……というように、韓国からは見えている。 2020年初頭から世界を混乱に陥れたコロナ禍以降、この5年間で日本が危機的な状況に陥っていることを肌で感じる。 もちろん韓国も対岸の火事ではないことは承知しているが、韓国在住の筆者は、時折日本に帰国するたびに日本の急速な変化を特に実感する。身近な友人などから、不安や不満の声が聞かれるようになり、これまではあまり話題にならなかった政治の話が日常会話に上るようになった。多くの人が日本の現状に危機感を持っているという、ただならぬ雰囲気を感じるのである。 昨年秋の自民党総裁選でも、高市氏は石破氏にあと一歩及ばず総裁の座を逃した。今年7月の参議院選挙での自民党の惨敗は、国民の失望の表れといえる。 ● 韓国の政治混乱と、韓国人の対日感情 この1年、韓国もまた政治的混乱の渦中にある。昨年12月に当時の大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が発令した戒厳令をきっかけに政局が混迷を極め、尹氏は罷免によって大統領の座を追われた。そして6月に行われた大統領選挙では、反日政治家として知られ「日本にとって最悪」ともいわれる李在明(イ・ジェミョン)氏が当選し、大統領に就任したのである。