「AI戦争」へ急激にシフトする米軍、240倍にもなったAIドローン予算…日本も対応すべき3つのこと(Wedge(ウェッジ))

 アメリカの外交・安全保障・イノベーション分野を専門とする高名なシンクタンクの女性所長が先日、来日した。筆者は彼女の滞年中、日本の主要なシンクタンク、大学、政府担当者、そして国会議員らとの面会をアテンドし、日本の安全保障の現状と未来について密度の高い議論を交わした。  彼女は単なる理論派の研究者ではない。元国務省の局長を歴任し、現在は国防総省(ペンタゴン)の重要な委員会の委員も担っている、米政府の「実務」と「最先端テックの軍事応用」の双方を熟知するキーパーソンである。  日本の政官学のリーダーたちとの会談を重ねる中で、彼女がふと漏らした、しかし極めて強い警告のトーンを帯びた言葉が、筆者の脳裏に深く焼き付いている。 「アメリカ軍は今、従来の軍事常識を完全に破壊するレベルで『ドローンとAI戦争』へのトランスフォーメーション(構造転換)を急激に進めています。しかし、日本はこのドラスティックな変化と、その背景にある真の危機感をほとんど認識していません」  彼女が指摘したこの巨大な地殻変動は、他でもない「中国との紛争」、すなわち「台湾海峡の防衛」を完全に意識したものである。  台湾有事は、地理的にも地政学的にも日本の存亡に直結するイシューだ。しかし、この米軍の最大級のシフトは、日本のメディアや議論の中では驚くほど見過ごされている。  本稿では、MITのサイバーAIセキュリティ研究の最前線に立つ立場、そして米高官との直接の対話から得られた一次情報をもとに、米軍が開始した「AI無人戦争」のリアルと、日本が至急対応すべき致命的な死角について激筆したい。

 現在、ペンタゴンの内部で起きている変化の凄まじさは、提示された「数字」に最も生々しく現れている。  米軍は、台頭する中国人民解放軍(PLA)の圧倒的な物量に対抗するため、安価で使い捨て可能な自律型AIドローンを18〜24カ月以内に数千機規模で大量配備する「レプリケーター(Replicator)構想」を2023年に立ち上げた。そして現在、この構想をより強力な組織として具現化するため、ドローンとAIに特化した事実上の新部隊「DAWG(Defense Autonomous Warfare Group:国防自律戦争グループ)」への集約を進めている。  このDAWGを巡る予算の跳ね上がり方は、世界の軍事関係者の度肝を抜いた。 • 2026会計年度の当初予算: 約2億2500万ドル(約350億円) • 2027会計年度の予算要求: 546億ドル(約8兆円超)  予算の伸び率は、実に「約24000%」という前代未聞の爆発的な増額申請である。この「546億ドル」というのは、アメリカ軍の4大軍種の一角である米海兵隊(Marine Corps)の単年の作戦・調達予算に匹敵、あるいはそれを上回る規模なのだ(参考:Firstpost Live 報道)。  一つの兵器カテゴリー、それも「AIと無人機」という新領域を扱う専門組織に対して、一国の軍隊を丸ごと維持できるほどの国家予算が集中投資され始めている。

Wedge(ウェッジ)
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