ブラジル大統領、関税問題でトランプ氏との直接会談に消極的 「侮辱」を懸念
[ブラジリア 6日 ロイター] - 米国がブラジル製品に最大50%の輸入関税を発動した6日、ブラジルのルラ大統領はロイターのインタビューに応じ、現時点で訪米してトランプ米大統領との直接会談を急ぐ考えはないと明らかにした。
ルラ氏は、トランプ氏との間に個人的なあつれきはないと断り、9月の国連総会や11月の第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)で会う可能性はあると説明した。
ただルラ氏は、トランプ氏が以前、ホワイトハウスに招いた南アフリカのラマポーザ大統領やウクライナのゼレンスキー大統領を頭ごなしに叱りつけた行動に言及。「ゼレンスキー氏やラマポーザ氏に対するトランプ氏の仕打ちは侮辱だった。一国の大統領がもう一方の大統領を侮辱してはならない」と語り、自身としてもトランプ氏がブラジルと積極的に協議したくないように感じている今、わざわざ侮辱されそうな場所に出向くつもりはないと言い切った。
トランプ氏がブラジル向け新関税の発動とクーデターを企てた罪でボルソナロ前大統領が起訴されたことを結び付けた点についてルラ氏は、ブラジル最高裁判所はトランプ氏が何を言おうが気に留めないし留めるべきでないと述べ、ボルソナロ前大統領がトランプ氏の介入を誘発した問題で新たな裁判を受ける必要があると反発した。
一方でルラ氏は、ブラジルが今すぐ米国への対抗措置を表明するつもりはないし、政府は閣僚レベルでの交渉を放棄したわけでもないと強調し、非常に慎重な姿勢で話し合いを進めていく意向を示した。
またルラ氏は、インドや中国をはじめとする他のBRICS諸国の首脳に呼びかけ、米国の関税措置への対応を協議する計画や、複数の国と共同で世界貿易機関(WTO)に異議を申し立てることを検討中だと明らかにした。
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