及川光博が“キュート”な役で視聴者の心を撃ち抜く 『ぼくたちん家』は“希望を感じる”一作に

 どしゃ降りの心に一筋の光を与えてくれる。雨を避ける軒になってくれる。そんな存在に巡り会えたら、人生勝ちも同然だ。

 10月12日より放送がスタートする日曜ドラマ『ぼくたちん家』(日本テレビ系)第1話の試写会に参加してそう思った。

 及川光博が21年ぶりに連続ドラマの主演を務める本作。彼が演じるのは、50歳の動物飼育員・波多野玄一。恋愛対象は男性、いわゆるゲイのおじさんである。玄一は、心優しくて、不器用で、おせっかいで、応援したくなるキャラクター。動物たちを愛でる彼の瞳はキラキラだ。何より、玄一の繊細な振る舞いすべてが愛おしい! 及川といえば、『御上先生』(TBS系)や『イグナイト -法の無法者-』(TBS系)など、スーツをビシッと着こなし、クールな役を担うイメージがあったが、ここにきて“キュート”な役で視聴者の心を撃ち抜くとは……恐るべし。

 及川が演じる玄一は、あることをきっかけに“恋人を作ろう!”と決心。パートナー相談所に出向く。一度は諦めかけていたが、カウンセラーの百瀬まどか(渋谷凪咲)から言われた言葉「『人間は恋と革命のために生まれてきたのだ』。太宰の言葉です!」に突き動かされ、失いかけていた“情熱”を取り戻す。

 そうして恋人を探すなかで、中学教師のクールなゲイ・作田索(手越祐也)と知り合う。人生にも恋にも冷めきっている索は、恋人・吉田亮太(井之脇海)と別れて同棲を解消し、車中泊を始めていた。

 索は、ときにはクールな言葉も言うけれど、生徒としっかり向き合うし、心に熱いものを持っている。言葉の端々に“人の良さ”が垣間見えるキャラクターである。そんな索を演じる手越は、本作が7年ぶりのドラマ出演。バラエティでの彼を思い浮かべている人は、「手越が繊細な索を演じられるのか」と不安になるかもしれないし、ナメて観る人もいるかもしれない。

 だが、第1話を観ればきっと安心するだろう。『ぼくたちん家』には手越祐也ではなく、作田索がいる。トレードマークだった金髪が黒髪となり、いい意味でスターオーラがない。なにより、索を巧みに演じていて、一瞬で虜になってしまう。その振り幅もあって、ドラマ放送後、手越を絶賛する声がSNSに多く書き込まれるのが目に浮かぶ。

 話を戻そう。劇中、玄一はある理由から索に「家を買うってどうですか?」と提案する。その後、事情を抱える索の生徒・楠ほたる(白鳥玉季)と知り合うと、彼女から「3000万円あります。家が欲しいんですよね? 私、あなたを買います」と言われて……。

 今後、玄一と索はどうなってしまうのか。そして、ここにほたるがどう絡んでくるのか。そもそも3人の行く末は? 注目すべきポイントは尽きない。

 及川や手越の共通点といえば、ステージでオーディエンスを熱狂させている点にある。『ぼくたちん家』は、スーパースターの2人が「誰かにとっての一筋の光」となっているのと同じく、視聴者にとっての「心の軒」となるに違いないと確信している。なぜなら、観る人を「『あなたはあなたでいいのだ』とハグしてくれるドラマだから」である。

 笑って泣けるラブコメという側面がある一方、LGBTやトー横問題など、いま考えるべきテーマも含んだ本作。いま自分が抱えているモヤモヤを晴らしてくれるきっかけになるだろうし、及川や手越はもちろん、渋谷、井之脇、田中直樹、大谷亮平、坂井真紀、光石研、麻生久美子ら、豪華俳優陣が演じるキャラクターの行動や台詞から学ぶこともあるだろう。第1話でもそうだったが、グサグサと刺さる台詞が多く、今後の人生で背負うことになる“素敵な言葉”を浴びる機会も増えそうだ。

 何かと沈みがちな日曜の夜。『ぼくたちん家』は、あなたに降り注ぐ雨を避ける軒に、明日に希望を感じる確かな光となるだろう。何かに悩んでいるなら、そっと身を預けてみてほしい。

■放送情報 『ぼくたちん家』 日本テレビ系にて、10月12日(日)スタート 毎週日曜22:30~放送 出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子 脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹 演出:鯨岡弘識、北川瞳 インクルーシブプロデューサー:白川大介 チーフプロデューサー:松本京子 プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美 音楽:東川亜希子、神谷洵平 主題歌:「バームクーヘン」 制作協力:AX-ON ©日本テレビ 公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bokutachinchi/ 公式X(旧Twitter):https://x.com/bokutachinchi 公式Instagram:https://www.instagram.com/bokutachinchi/

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