宇野昌磨さん 引退から1年も表現を探求「毎日いろんな発見」

自らプロデュースするアイスショー「アイス・ブレイブ」に向け、練習を見守る宇野昌磨さん=三井不動産アイスパーク船橋で2025年4月24日、吉田航太撮影

 フィギュアスケートで日本男子初の世界選手権連覇を果たした宇野昌磨さん(27)が引退記者会見をしてから14日で1年となる。毎日新聞のインタビューに応じ、自身が初めてプロデュースするアイスショー「Ice Brave(アイスブレイブ)」の準備を通じて感じていることや引退から1年という節目を迎えて訪れた変化などを語った。全3回の第1回はショーに懸ける熱い思いや、引退後の「気付き」を中心にお届けする。【聞き手・倉沢仁志】

 恩師のステファン・ランビエル氏について語った第2回は5月20日、引退後の変化について語った第3回は5月27日アップ予定です

「僕の言葉を待ってくれている人がたくさんいる」

 <いよいよ自身がプロデュースする公演の開幕が近付いてきました>

 ショーの開催が決まった当初は、他のキャストにどう声をかけるべきなのか、演者でもある自分の立ち位置はどうすべきなのかとか、結構難しく考えたところがありました。プロデュースっていう形をどこまで自分が自信を持って言えるのか、最初は慣れないところもありましたし。

 でも、段々と自分の発言や行動に自信を持ってやらないといけないと思うようになりました。やっぱり一つのショーを作ることの難しさは、自分自身、(この1年で)裏方もやったからこそよくわかって。照明や衣装、ビジュアルなど全部含めて、すごく大変なんだなということを改めて感じています。

 <一日一日が過ぎるのは早いですか>

 早い、というよりも眠れないことが最近は何回かあります。忙しくて……(笑い)。練習が夜遅くて、翌朝早いとか、その合間に広報活動があったりとか……。僕自身、寝付きがいい方ではないですし、睡眠時間が確保できない時は体調が優れない日もあります。

 これまではそういう経験がありませんでした。でも、僕以上に周りの皆さんの方が大変な思いで、大変なスケジュールをこなされている。皆さんすごいことをやっているなと再認識させられます。

 <競技を引退し、「社会」に出たという実感はありますか>

 そうですね。睡眠や食事も、当たり前のように好きなようにとって、好きなようにするって大事なんだなって(笑い)。当たり前のことですけど、けがをしないためにちゃんとやることも、やらないことも区別しつつ、何が一番大切なのか、僕自身でどんどん決めていかないといけない。プロデューサーという立場に立たされると、自然とそういうものに向き合うようになって、いろいろと考える毎日です。

 <あっという間に引退から1年が経過しました>

 今まではスケーターとして技術を向上させようという感じでしたけど、今は社会人として、人間として、皆さんが当たり前に社会に出てやっていることを僕も多少なりとも経験できているというのは、ちょっと安心しますね。

 現役を引退して気付いたのですが、競技者時代の僕は割と子供でした。もちろん…

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