USスチールの物言う株主、取締役候補を撤回-日鉄買収案の再審査で
Joe Deaux
- 日鉄の買収案に「明らかな勢いが見られるため」-アンコラ
- アンコラ、取締役会の刷新とCEO交代を要求していた
アクティビスト(物言う投資家)の米アンコラ・ホールディングス・グループは9日、鉄鋼大手USスチールの取締役会に推薦していた候補者を撤回すると明らかにした。日本製鉄による買収案が進展している兆候が見られるためとしている。
アンコラは1月以降、取締役会の刷新と最高経営責任者(CEO)の交代をUSスチールに要求していた。バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念を理由に、日鉄によるUSスチール買収計画の中止を命じたことが背景にあった。
アンコラは声明で、日本製鉄による1株55ドルの買収案に「明らかな勢いが見られるため」、今回の決定に至ったと説明した。
今回の動きはトランプ大統領が同買収案について、対米外国投資委員会(CFIUS)に新たな審査を命じたことを受けたもの。これにより、CFIUSは45日以内に報告書を提出する必要がある。
アンコラは「最近の報道によると、USスチールと日鉄は懸念の解消と設備投資の大幅引き上げで、トランプ政権と建設的な協議を行うことに成功した可能性がある」と指摘。またトランプ氏の命令文の文言から、両社が安保上の懸念を緩和する措置を講じた可能性があるとの見方を示した。
審査が再開されたことで買収成立への期待は高まっているが、USスチールの株価は依然として日鉄の買収提示額を大きく下回っている。 トランプ氏自身はこれまで、USスチールが日本企業の支配下に置かれることに対し、繰り返し否定的な見解を示している。
原題:Ancora Pulls US Steel Board Nominations on Nippon Steel Bid (2)(抜粋)
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