債券投資家の最もホットな取引、ドイツの支出ブームで活気付く
債券市場で人気の取引の一つが、欧州で新たな勢いを得ている。ドイツ国債の20年以上で最大の下落が、長期債の売りを加速させた。
この取引は「イールドカーブスティープナー」として知られており、期間の長い債券が短い債券をアンダーパフォームすると見込むものだ。
先週はまさにそのケースで、ドイツが防衛とインフラに数千億ユーロを支出する計画を発表した後、2年物と10年物のドイツ債利回りの差が2年で最も拡大した。
10年物ドイツ国債の利回りは43ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急騰し、2.84%に達し、短期債の22bp上昇を上回った。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、ヌビーンなどは、欧州のイールドカーブはさらにスティープ化するとみている。
政府支出の増大で債券発行が長年にわたって増加し、経済成長が加速、インフレ率が上昇する可能性があることを踏まえ、市場が長期債により高いリターンを要求するだろうという考え方だ。
Investors see steepening continuing, led by long end
Source: Bloomberg
ヌビーンのマクロクレジット責任者でグローバル投資ストラテジスト、ローラ・クーパー氏は「ドイツ国債のイールドカーブスティープ化は、年末まで主要なテーマであり続けるだろう」と言う。10年物利回りが年末までに3.1%まで上昇し、2年物利回りは2.25%になると予想している。
カーブスティープ化を予想する取引は、既に年初から人気となっていたが、投資家は欧州中央銀行(ECB)による積極的な利下げが短期金利を押し下げることがスティープ化の引き金になると考えていた。
トランプ米大統領の関税脅威により、ECBは利下げを継続せざるを得なくなる可能性が高いと予想されていた。金融緩和は短期の債券により大きな影響を与える傾向がある。
しかしECBは先週、インフレ沈静化と各国政府による財政刺激強化の準備を理由に、利下げの終了が近いことを示唆した。
ドイツやその他の欧州連合(EU)加盟国が防衛費の増額を準備し、EUは財政赤字に関する規則を緩和しようとしている。
この財政政策の変化はイールドカーブを、利下げよりも持続的にスティープ化させ得る。
「欧州での金利上昇は、ドイツにおける債務発行増の影響が市場に織り込まれるにつれ、ユーロ圏全体に広がり、今後も継続する可能性が高い」と、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの欧州・中東・アフリカ(EMEA)投資戦略・調査責任者アルタフ・カッサム氏は述べた。
ECBについては、4月に0.25ポイントの追加利下げが行われるかどうかは、今や五分五分とみられている。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの債券マクロ戦略責任者、サイモン・ダンゴール氏は、「欧州の短期金利については、以前ほど確信が持てなくなっている。財政拡大のための追加発行を考慮したスティープナー取引が有望だ」と述べた。
原題:Debt Investors’ Hottest Trade Gets Lift in German Spending Spree(抜粋)