「おたる水族館」で無料貸し出ししているベビーカー2台が相次いで行方不明に スーパーの買い物かごも“持ち去り”に苦悩

春休みに入り、家族連れや子どもたちに人気の水族館。 しかし北海道では、開館以来初めての事態が起きた水族館があります。

25日の“ソレってどうなの?”は「無料貸し出しが行方不明。ベビーカー返して!」をテーマにお伝えします。

イルカの展示やペンギンの散歩など、国内だけではなく海外の観光客にも人気の「おたる水族館」。

23日、公式Xで「当館にて無料でお貸出しているベビーカーが2/4と3/17に2台が相次いで行方不明になりました」と訴えました。

無料貸し出しのベビーカーが相次いで持ち去られたというのです。

これについて、SNSでは「これはさすがにひどすぎる」、「“借りパク”は善意を踏みにじる行為だ」などの反応が見られました。

「家族連れでも気軽に楽しんでほしい」と無料で貸し出しているベビーカー。

入り口の正面に置かれていて誰でも利用ができ、職員に声をかける必要もありません。

寄贈されたものもありますが、水族館が購入しているものもあって、高いもので1台7万円以上するといいます。

子ども連れの人にこの問題についてどう思うか聞くと、「(ベビーカーの)持ち運びは大変なので、その場で貸してくれると荷物減るから、ありがたいサービスなのに」、「好意を踏みにじるような。よくない」、「返さない人の気持ちがわからない。モラルがないと思う」、「今後どうなるかわからないが、貸し出ししてくれなくなる」、「泥棒じゃん、もうそれ」と話しました。

もちろん水族館の職員も心を痛めています。

おたる水族館の担当者は、「みなさんに利用していただくため用意しているので、持って帰った人がいるなら残念。持っている方がいるなら返してほしいと思います」と話しました。

おたる水族館では、あらためて返却を呼びかけるとともに、今後も持ち去りが続くようであれば、このサービスの見直しも検討するということです。

ただ、こうした問題はほかにもあり、無料貸し出しで身近というと、スーパーの買い物かごもその1つです。 買い物かごも持ち去られるケースは多いのでしょうか。

スーパーマルサン吉川店・齋藤元宏店長は「3カ月とか半年に100個くらいの単位でなくなる。確かに一般家庭で1つ2つかごがあると便利。洗濯物入れたり、罪悪感なくやっている人がいるんじゃないか」と話します。

持ち去られたことで、日曜日や特売日にかごが足りなくなることもあるそうす。

1つ300円程度ですが、その都度、買い足さなければならず、手間とコストもかさむといいます。

何か対策しているか聞くと、スーパーマルサン吉川店・齋藤店長は「(精算後の)かごに『持ち出し禁止』と目立つように黄色いかごに赤い文字で。あと普通、かごには取っ手がついてる、手でぶらさげる。その取っ手があると持ちやすいから、(精算後のかごの)取っ手は全部外している」と話しました。

それでも持っていかれる問題は解決していません。

このような店と客の信頼関係で成り立っている善意のサービスを今後も続けるためにはどんな仕組みを作ればいいのでしょうか。

企業の危機管理にくわしい株式会社エイレックス 危機管理コンサルタント・大川哲拓氏は、「こうした問題があると、性善説に基づく企業サービスが萎縮することが懸念される。もちろん『盗んだ人が悪い』という前提ではあるが、企業側も犯罪を未然に防ぐ対策をとる必要がある。ハード面だと、盗難防止対策で、あらかじめお金を投入するデポジットの仕組み、マナー面ではモラルの啓発を粘り強く行う必要がある」と話します。

一部の人の行為で善意のサービスがなくならないためにも、「これくらいいいよね」という感覚を持たないようにしていただきたいと思います。

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