【村瀬智一が斬る!深層マーケット】米中貿易摩擦への警戒感が和らぐ
加藤勝信財務大臣は25日朝(日本時間)、ベッセント米財務長官と会談を行い、為替については建設的に協議を続けることで一致。前回の交渉協議で良好な関係を確認した赤沢亮正経済再生担当相は4月30日から3日間の日程で訪米し、2回目の担当閣僚協議に臨む。また、ベッセント財務長官が、早ければ来週にも韓国と貿易に関して「基本合意」する可能性があると述べたと伝わっている。90日間の一時関税停止の期間をとらえて、米国と各国との協議が進められており、交渉進展への期待感が高まる。
内外企業の決算発表が本格化してくることで積極的な売買は手控えられそうだが、今週はファナック <6954> [東証P]の決算反応が市場センチメントの改善につながった。同社は26年3月期予想は非開示とし、トランプ関税の影響などを慎重に見極め、合理的に算定することが可能になった時点で公表するとしている。市場関係者は「業績未定は売り」と警戒していたが、同社の株価は決算発表の翌日24日に上昇。また、24日に25年3月期の連結最終損益を従来予想の800億円の赤字から7000億~7500億円の赤字に下方修正した日産自動車 <7201> [東証P]も、構造改革への期待から買い戻されている。
センチメント改善を背景に、日経平均株価は足もとの上昇で相互関税発動前の水準を回復してきており、今後は海外投資家による買い戻しが強まる可能性がありそうだ。ゴールデンウィークに入ることで短期的な売買が中心になるとみられるが、投資家のリバウンド狙いの買い意欲は強そうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」◆任天堂 <7974> [東証P]
古川俊太郎社長は4月23日、新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」について自社の公式通販サイトの第1回抽選販売に国内だけで約220万人の応募があった、とSNSに投稿した。2017年3月に発売した現行機「ニンテンドースイッチ」の初月販売を大きく上回るもので、人気の高さが改めて確認された格好だ。米国では24日に予約受付が開始され、多くの小売店舗やウェブサイトで早くも売り切れになったようだ。株価は25日・75日の両移動平均線が集束する水準で攻防を続けていたが、24日には窓を空けて上放れ、一目均衡表の「雲」上限を突破してきた。シグナル好転を受けて、2月19日に付けた上場来高値1万1800円突破からの一段高が期待されそうだ。(2025年3月期決算の発表予定日は5月8日)◆ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証S]
精密制御減速装置を主力に、メカトロニクス製品も展開。4月24日引け後、2025年3月期の連結営業損益を従来予想の4億円の赤字から4000万円の黒字に上方修正した。日本・欧州の売上高が前回予想を上回る見込みという。67.7%営業減益の見通しではあるものの、黒字への修正によりアク抜け感は高まりやすいだろう。株価は2月25日に付けた5350円を高値に調整を続けていたが、足もとのリバウンドで25日線を突破し、75日線(25日時点3868円)を射程に捉えてきた。(2025年3月期決算の発表予定日は5月14日)◆マクニカホールディングス <3132> [東証P]
独立系の国内大手の半導体商社。2月3日に発表した2025年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比35.3%減の332億1700万円で着地。主力の「集積回路及び電子デバイスその他事業」は低調だが、エンドポイントセキュリティ関連商品などが伸び、「ネットワーク事業」は好調に推移している。株価は通期計画が据え置かれたことや、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツによる5%超保有などの材料に支えられて堅調に推移していたが、トランプ関税を警戒した市場崩落に巻き込まれて急落。4月7日1560.5円をボトムに切り返し、急落前の3月高値1999円を視野に捉えている。高値更新からの一段高に期待。(2025年3月期決算の発表予定日は5月7日)◆セプテーニ・ホールディングス <4293> [東証S]
電通グループ <4324> [東証P]系。国内外でインターネット広告事業を手掛ける総合広告会社。YouTubeにおける認知広告の効果検証を行う分析ソリューション「Pure Lift Vision」の提供を開始。YouTube広告のアクティブビューに基づいてユーザーを分類し、行動変容率(CV率)を比較することで、広告の効果を可視化するものだ。株価は2024年12月の487円を高値に上値、下値を切り下げる調整トレンドにあったが、3月11日安値の323円と4月7日安値の321円でダブルボトムを形成。足もとのリバウンドで直近の戻り高値水準を捉えた。目先は2月高値の407円を意識した展開に期待したい。(2025年12月期第1四半期決算の発表予定日は5月12日)◆正興電機製作所 <6653> [東証P]
電力向けの受変電設備・開閉装置が主力。4月23日に発表した2025年12月期第1四半期(1-3月)の連結営業利益は前年同期比43%増の11億100万円で着地した。電力部門で発変電関連設備や遠隔監視システムなどのスマート保安システムが堅調に推移した。環境エネルギー部門も、水処理設備向け監視制御システムや道路設備向け受配電システムが順調だった。併せて、上期(1-6月)の営業利益を従来予想の10億5000万円から13億円に上方修正した。今後は据え置かれた通期計画の上振れが期待されてこよう。株価は窓を空けて上昇し、200日線に差し掛かってきた。同線を完全に上放れると、リバウンド基調を強めてきそうだ。 (2025年4月25日 記) ⇒⇒ ★4月28日~5月6日に「ゴールデンウィーク特集」などを一挙、"38本"配信します。ご期待ください。 株探ニュース