トランプ氏推す「アメ車」 日本で不人気は「非関税障壁」のせい?
世界を混乱に陥れているトランプ米大統領の関税政策。金融市場に激震を走らせた相互関税の上乗せ分は90日間停止されたものの、25%の自動車関税は維持され、日本の自動車産業への影響が懸念されている。
そのトランプ氏は、関税以外の「非関税障壁」が日本での米国車の普及を阻害していると舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判する。
確かに「アメ車」は日本であまり見かけない。だが、同じ輸入車の欧州車は日常的に目にする。この違いはどこからくるのか。
<主な内容> ・日本で売れている輸入車は? ・欧州車にあって、米国車にないもの ・アップルとテスラ
・トランプ氏の真の狙い
「トヨタは米国で100万台を販売しているが、ゼネラル・モーターズ(GM)もフォードも日本ではわずかしか売れていない」
自動車関税の発動を命じる文書に署名する前日の2日、トランプ氏は自動車貿易を巡る日本市場への不公平感をあらわにした。
日本は1978年に米国車も含めた輸入車への関税を撤廃しているが、米国では日本の「非関税障壁」がネックになっているとの認識が根強い。日本独自の安全基準や補助金制度、厳格な車検制度、大型車には不利とされる車を購入する際に必要な車庫証明などだ。
非関税障壁が原因とする米国の主張は、日本車の対米輸出の急増で、貿易摩擦が深刻化した80年代からされており、歴代米政権はことあるごとに持ち出してきた。
いわば「古くて新しい」主張だ。
2014年に来日した当時のオバマ大統領も安倍晋三首相と東京・銀座のすし店で会談した際、「日本ではGMやフォードの車を全く見なかった。日本市場が閉鎖的だからじゃないか」と発言した。
これに対し、安倍氏が「ドイツ車はたくさん走っている。欧州車は日本市場に合わせて右ハンドル車を作るなど努力しているからだ」と反論する場面もあった。
日本で最も売れている輸入車は?
確かに日本では米国車は売れていない。自動車関税の発動を前に、トランプ氏が日本で米国車が売れていないと指摘した発言自体は間違ってはいない。
トランプ氏のこうした発言に対して石破茂首相は7日、参院決算委員会でこう述べた。
「ドイツの車はいっぱい走っているのであって、どうしてこんなことになるのか」
この内容も間違っていない。
非関税障壁が存在しても欧州車…