【焦点】ECBとカナダ中銀、G7で最初の政策決定に-米国の混乱後

トランプ米大統領の貿易戦争が世界市場を揺り動かしてから主要7カ国(G7)で最初となる金融政策決定は、大西洋の両側で異なる内容となりそうだ。

  米国との関税合戦に伴うインフレに備え、カナダ銀行(中央銀行)は16日に政策金利を据え置く可能性がある。一方、欧州中央銀行(ECB)は翌17日に利下げが広く予想されている。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)の次回決定は5月7日までない。このためECBとカナダ中銀は、トランプ大統領の政策による経済への影響を評価しつつ投資家をなだめるという責務を負う。

  中国に対する措置は例外としても、トランプ氏は公約した関税で最も厳しい項目の多くを保留している。だが、市場の変動性と不確実性拡大も痛手をもたらしかねず、ECBのラガルド総裁は11日にそうしたリスクを示唆した。当局者は状況を注視し利用可能な手段の用意があると述べたほか、物価安定と金融安定は関連しているとの見解を示した。

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  米国を震源とする混乱を受け、FOMC会合前にECB当局者が金融政策決定で悩むのは、この2年余りで2回目。2023年にシリコンバレー銀行(SVB)破綻が市場に動揺をもたらした時は、ちゅうちょせず計画通り0.5ポイントの利上げを実施した。

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  今回、ECBの決定はもっと単純かもしれない。関税が景気の足かせになる可能性は高いが欧州連合(EU)は現時点でインフレ対策を見送っており、0.25ポイントの利下げが広く見込まれる。

  カナダは、より多くのトレードオフを考慮しなければならない。トランプ氏の関税は既に企業投資と個人消費に水を差し、インフレ期待は急上昇している。15日発表の消費者物価指数(CPI)は金融政策判断で重要な役目を果たす可能性がある。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、デービッド・パウエル、シモナ ・デレ・ チアイエ両氏は「ECBが17日に行う次回の金利決定は比較的容易なものになる方向だ。米関税がユーロ圏経済を直撃すると考えられる上に、政策委員会は通貨高の影響にも配慮しなければならない」と指摘する。

  韓国やトルコなどの金融政策決定に加え、中国の国内総生産(GDP)データ、英国や日本のCPIも焦点となる。

原題:Central Banks Prepare First G-7 Responses to US Chaos: Eco Week(抜粋)

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