バリ島で「集団万引き」の高校生、日本でも処罰される可能性は? 動画が拡散…学校側は謝罪

京都の私立学校、大谷中学・高等学校が12月8日付けで公式サイト上に、研修旅行中の生徒が窃盗を行ったとして謝罪する文書を掲載しました。 【拡散した動画】生徒たちの万引きの模様が…(モザイク処理済み) インドネシアのバリ島で、修学旅行中とみられる日本の少年らが集団で万引きをする様子の動画がSNS上で拡散していた問題を受けての対応とみられています。 この問題が刑事事件となった場合、万引きをしたとされる生徒たちは現地の法律で罪に問われるのでしょうか。それとも、日本で罪に問われる可能性があるのでしょうか。

結論としては、日本とインドネシア、両方で処罰される可能性があります。 インドネシアの法律で処罰される可能性があるのはもちろんですが、バリ島を含む海外での万引き行為について、日本の刑法も適用されます。つまり、日本で処罰される可能性もあります。 日本の刑法は、原則として日本国内で行われた犯罪に適用されるため(属地主義、刑法1条)、外国で行われた犯罪には適用されないようにも思えます。 しかし、これには例外があり、日本国民が国外で行った特定の犯罪についても適用される場合があります(属人主義、同法3条など)。 刑法3条は、日本国民が国外で犯した一定の犯罪について、日本の刑法を適用すると定めており、その中には「窃盗罪」(刑法235条)も含まれます(同法3条14号)。 したがって、たとえバリ島での出来事であっても、日本の刑法を適用することは可能であり、日本の捜査機関による捜査や処罰の対象となり得ます。

では、もし現地で発覚して処罰を受けた場合、日本でも重ねて処罰されるのでしょうか。 日本国憲法39条は「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない(一事不再理)」と定めています。 しかし、この規定は日本の裁判所による判決を前提としているとされており、外国の裁判所で処罰を受けたとしても、さらに日本で刑罰を受けることがなくなるわけではありません。 刑法5条では、外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為についてさらに処罰することを妨げないと規定されています。 ただし、刑法5条但書(ただしがき)では、すでに外国で、刑の全部または一部の執行を受けたときは、日本での刑の執行を「減軽」または「免除」すると定めています。 したがって、現地で刑の執行を受けていれば、その分は日本での処分において考慮されます。 なお、今回の当事者は高校生であるため、日本国内での手続きは「少年法」に基づいて行われます。成人の刑事裁判とは異なり、家庭裁判所による調査や審判が行われ、処罰そのものよりも少年の更生や教育に重きが置かれています。 監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

弁護士ドットコムニュース編集部

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