「米動物園でパンダ虐待」の噂、中国が取り締まり-関係改善にらみ

Josh Xiao

  • 四川省の警察、パンダ虐待のうわさを流したとして男女2人を告発
  • 容疑者は偽情報のストリーミングで最大約370万円の利益得る-声明

中国は、米首都ワシントンの動物園がパンダを虐待しているといううわさの拡散に断固とした措置を講じた。トランプ次期米大統領の就任を数週間後に控え、米国との関係安定化を図る動きだ。

  四川省の警察は、ワシントンの国立動物園でパンダのメイシャンとティエンティエンが虐待されているという虚偽の情報を流したとして男女2人を告発した。27日の公式声明で明らかになった。2人は動物保護の国際的取り組みへのボイコットも扇動したと、当局は主張している。

  今回の対応はパンダの健康状態に関して、中国が米国を厳しく非難していた昨年とは対照的だ。米テネシー州メンフィス動物園のパンダの衰弱した様子を映す画像を巡って、中国は批判の矛先を米国に向けていた経緯がある。これについては、両国ともに手落ちはなかったとの見解を示したが、中国外務省の華春瑩次官はこのパンダが中国にいた頃の健康的に見える写真と比べる画像をソーシャルメディアに投稿し、国民の怒りをあおった。

  当時は、中国の「スパイ気球」疑惑を巡り米中関係が悪化していた。その後、メイシャンとティエンティエンを含む米国にいる全てのパンダが中国に返還されることになった。しかし、昨年11月の中国の習近平国家主席とバイデン米大統領との首脳会談をきっかけに、「パンダ外交」は再開され、パンダがまた米国に送られることが決まった。

  パンダが米国で虐待されているといううわさを中国が取り締まる今回の動きは、波乱が想定される第2次トランプ米政権に備え、米中関係の改善に向けて中国側の誠意を示す狙いがあるとみられる。中国景気の減速になかなか歯止めをかけられないとの国内事情も、影響している可能性がある。

  27日の同声明によれば、2人の容疑者はうわさのライブストリーミングを通じて最大17万元(約370万円)の利益を得ていた。犯行は2023年6月に始まり、当局は苦情を受けて今年3月に捜査を開始した。

原題:China Fights Rumors of Panda Abuse at US Zoo in Sign of Goodwill(抜粋)

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