米との貿易戦争、ユーロ圏のインフレ率上昇し成長は減速へ=ECB総裁

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。パリで2024年1月撮影(2025年 ロイター/Stephanie Lecocq)

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。

ラガルド総裁は欧州議会の経済金融委員会で、米が欧州からの輸入品に25%の関税を課せば、初年度にユーロ圏の成長率を約0.3%ポイント下押しする見込みだが、報復措置を取ればそれが0.5%ポイントに拡大する可能性があると指摘した。

「短期的には、欧州連合(EU)の報復措置と、米国の欧州製品に対する需要低下によるユーロ安により、インフレ率を約0.5%ポイント押し上げる可能性がある」と述べた。「中期的には、経済活動の低下に伴いインフレ圧力が弱まるため、影響は緩和される」と予想した。

ただいかなる想定にも「相当な」不確実性があると強調した。

その上で、ECBとしては「警戒」を怠らず、物価安定のために行動する用意があるとした。次の行動はまだ決めておらず、会合ごとに決定していくと説明した。

ラガルド総裁は、貿易の統合を進めることが貿易戦争の解決策となり得るとし、それによって米国の措置による悪影響を相殺することも可能との見方を示した。

「ECBの分析によると、他国とのより緊密な統合は、報復措置を含む一方的な関税による損失を相殺する以上の効果をもたらす可能性がある」とし「その場合、孤立主義的な政策をとる国だけが損失を被ることになる」と述べた。

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