最大の被害者は弟子たち 日本相撲協会と宮城野親方の「溝」埋まらず
優勝パレードの様子をスマートフォンを手に見守る元横綱・白鵬の宮城野親方=東京・両国国技館で2023年9月24日、宮武祐希撮影
「至宝」が角界を去る。
日本相撲協会を退職する元横綱・白鵬の宮城野親方(40)は現役時代、歴代最多45回の優勝記録を樹立した。
国技を背負って立つはずの大横綱が、弟子の育成を断念したことになる。
親方、協会の双方が問題点を抱えたまま、「溝」は埋まらなかった。【飯山太郎】
協会の処分にない「部屋閉鎖」
一連の問題は2024年1月の初場所を途中休場し、場所後に明らかになった元前頭・北青鵬の暴力行為に端を発する。
当時、北青鵬は宮城野親方が師匠を務める宮城野部屋に所属していた。
同年2月、北青鵬は同じ部屋の力士2人に対して22年7月~23年11月に暴行を繰り返していたと認定された。
協会は引退勧告処分相当とした一方、本人から提出された引退届を受理し、北青鵬は角界を去った。
宮城野親方は暴力行為を把握しながら協会に報告しなかったなどとして、委員から年寄への2階級降格と報酬減額の懲戒処分を受けた。
さらに、師匠として素養、自覚を欠くとして、宮城野部屋は閉鎖された。
親方は所属力士らとともに24年4月から同じ一門の伊勢ケ浜部屋預かりの形で移籍した。
当初から、宮城野部屋閉鎖には協会内に異論があった。
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