米長期金利5%に備える債券市場、トランプ氏の就任間近-6%予想も

米国債市場の低迷に見舞われている債券トレーダーらは、トランプ次期米大統領の就任が近づく中で、さらに同じ状況が続くと覚悟している。米国の10年国債利回りが、2023年10月以来となる5%に跳ね上がる可能性をオプション取引は暗示する。

  トランプ次期政権の政策で米国のインフレが加速し、財政赤字が拡大するという観測から米10年国債利回りは過去1カ月で約0.5ポイント上昇し、4.7%近くに達した。社債発行ラッシュに加え、今週は1190億ドル(約18兆8000億円)規模の米国債入札も予定され、今後数週間のうちにさらに国債発行が見込まれることも、利回りの押し上げ圧力を増大させた。

  ブラックロックの米州チーフ投資ポートフォリオストラテジスト、ガルギ・チャウドゥーリー氏は「財政政策は少し確実な情報が必要だが、新政権が発足すれば、もっと詳しく分かるだろう。米国債の発行増という未知の要素が市場に作用し、買い手を遠ざける見通しだ」と言及した。

  7日に発表された昨年11月の米求人件数と米供給管理協会(ISM)の非製造業総合景況指数(12月)はいずれも強い数字となり、市場が想定する米追加利下げの時期を下期以降に先送りする結果となった。

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  INGグループのグローバル債券・金利戦略責任者パドレイク・ガービー氏は、米10年国債利回りが年末までに5.5%前後に到達すると予測。ティー・ロウ・プライスのアリフ・フセイン氏も6%は可能性の範囲と指摘する。

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  最近の米国債利回りの上昇は、先物市場のショートポジションの積み上がりを伴っているようだ。ジェネリック10年米国債に連動する「ウルトラ10年米国債先物」の建玉(未決済約定)は、過去5営業日でいずれも増えた。売り建玉の増加は、弱気方向の新たな投資ポジションをおおむね反映する。

  利回りの着実な上昇にもかかわらず、新年の取引開始に伴い一部の投資家は確かに好機を見いだしているようだ。JPモルガン・チェースの顧客調査によると、1月6日までの1週間で、ショートポジションが増える一方、ロングポジションも過去1年余りで最も積み上がった。

Neutral positions rise to biggest in a month

Source: JPMorgan, Bloomberg

原題:Bond Market Targets 5% US 10-Year Yield as Trump Swear-In Nears(抜粋)

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