国が豊かになると、女性より男性が著しく体が成長する:身長と体重に関する最新研究
世界中から集めた13万5600人以上の肥満でない男女の身長と体重のデータを国際的な研究チームが分析し、そのデータを各国の豊かさに結び付けた調査を実施した結果、国が豊かになるにつれて男女ともに身長が伸び、体重も増える傾向が確認されました。
豊かになると男性の身長は女性より速く伸びる
しかし、興味深いことに男性は女性のおよそ2倍速で身長が伸びるそうなんです。さらに、この1月22日にBiology Lettersに掲載された研究論文は、この傾向の少なくとも一部は現代の性的嗜好によるものかもしれないそうです。
イタリア、アメリカ、イギリスの研究者たちがまとめた研究論文によると、各国の社会的および生態学的条件が改善され、全体の疾病負担が軽減されると、人々の身長と体重は増加するそうです。
ただし、男性の増加は女性の約2倍以上となるため、その結果として性的サイズ二形性(SSD)が拡大していると報告されています。なお、性的サイズ二形性とは、同じ種の性別間に見られる身体的な違いを指すそうです。
研究チームは、女性にはパートナーとしてより身長が高く、より筋肉質な男性を選ぶ傾向があるのに対し、男性は女性の身長にあまりこだわらないのではないかと推測しています。
男性は生活環境の影響を受けやすい?
また、より豊かな国々における男女間の身長増加の顕著な違いは、男性の体格は女性よりも環境の影響を受けやすい可能性を示唆しているそうです。
研究チームはこの点について論文で以下のように説明しています。
「より恵まれた環境においてSSDが大きいという私たちの主な発見に基づくと、少なくとも身長と体重に関しては、男性のほうが女性よりも全体的な体格の発達と維持が生活環境の影響を受けやすいことは明らかです」
ポーランドのヴロツワフ大学に所属する生物学者で、今回の研究には参加していないBogusław Pawłowski氏はCNNの取材に対し、「環境または経済状況が改善され、リソースへのアクセスが向上すると、男性は女性よりも多くの生物学的利益を得ます。それとは逆に、リソースが乏しくなると、男性は女性よりも苦しむことになります」と話しています。
研究チームは、今回の結果は明確な因果関係ではなく、あくまでデータ間の相関関係を示すに過ぎないと認めながらも、男性の身長および男女間の身長差は、集団の健康状態の変化を評価するための有用なバイオマーカー(生物学的な指標)になり得ることを示唆しているとのことです。
考えようによっては、身長の伸び具合を見ればその国の豊かさがわかるとも言えそうですね。