名人戦第1局 永瀬九段、大長考の末に封じ手 藤井名人の研究内か

第83期名人戦第1局1日目、立会の島朗九段(左)に封じ手を渡す挑戦者の永瀬拓矢九段(右)。中央奥は藤井聡太名人=東京都文京区のホテル椿山荘東京で2025年4月9日午後6時36分、吉田航太撮影

 藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦七番勝負第1局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤田観光協力)が9日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で始まり、午後6時半、永瀬九段が83手目を封じて1日目の対局を終えた。持ち時間各9時間のうち消費時間は永瀬九段5時間、藤井名人2時間46分。10日午前9時に再開する。

 藤井名人が3連覇、永瀬九段が初挑戦での名人奪取を目指すシリーズが始まった。椿山荘での開幕局は近年、桜が散った後に行われることが多かったが、今年は久々に満開の中での開催となった。

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 振り駒の結果、先手番となった永瀬九段の角換わりを藤井名人が堂々と受けて立ち、3月2日に藤井名人が増田康宏八段(27)と戦った棋王戦五番勝負第3局をなぞる展開が68手目まで続いた。昼食休憩を挟む42分の長考で、永瀬九段が7一馬(69手目)と先に手を変えて未知の戦いに入った。8八歩に同玉(79手目)と応じるのに53分使うなど、永瀬九段が考慮に沈む場面が多く見られた。

 永瀬九段が1時間55分考えて次の手を封じた局面は、藤井名人が角と金の交換で駒得する代わりに、銀が玉の退路を塞ぐ「壁銀」の悪形を強いられている。解説の佐々木勇気八段は「藤井名人は増田八段の作戦を取り入れ、壁銀でも有力とみて研究を深めてきた。まだ藤井名人の研究範囲である可能性が高く、互角の形勢であるが、永瀬九段にプレッシャーがかかる展開です」と話している。【丸山進、新土居仁昌】

(第1日指了図・82手目後手9八歩まで)

第1日指し手

[先]永瀬

[後]藤井

<1>2六歩  (2)8四歩

<3>2五歩  (4)8五歩

<5>7六歩  (6)3二金

<7>7七角  (8)3四歩

<9>8八銀  (10)7七角成

<11>同 銀  (12)2二銀

<13>4八銀  (14)3三銀

<15>4六歩  (16)6二銀1

<17>7八金  (18)7四歩

<19>4七銀  (20)1四歩2

<21>1六歩  (22)6四歩

<23>3六歩  (24)7三桂2

<25>6八玉  (26)6三銀

<27>3七桂  (28)4二玉1

<29>9六歩  (30)9四歩

<31>4八金  (32)6二金

<33>5六銀2 (34)8一飛

<35>6六歩1 (36)5四銀1

<37>2九飛1 (38)6三銀1

<39>6九玉2 (40)4一玉2

<41>7九玉2 (42)3一玉1

<43>2七飛1 (44)5四銀5

<45>4五桂6 (46)2二銀1

<47>3五歩8 (48)4四歩7

<49>5三桂成6(50)同 金

<51>3四歩1 (52)6五歩2

<53>6二角10 (54)6三金1

<55>4四角成 (56)5二桂

<57>2六馬4 (58)9五歩

<59>同 歩9 (60)6六歩3

<61>同 銀1 (62)8六歩1

<63>同 歩  (64)6四桂1

<65>6七銀10 (66)8六飛1

<67>8七歩5 (68)8二飛

<69>7一馬42 (70)4二飛2

<71>6五歩  (72)同 銀6

<73>同 銀  (74)同 桂2

<75>5三銀3 (76)4一飛3

<77>6四銀不成16

      (78)8八歩20

<79>同 玉53 (80)7一飛14

<81>6三銀成2(82)9八歩86

<83>封じ手115

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