モンパチ、HY大合唱「伝説の雨中断」仕掛け人は? キングスファンにも有名、沖縄出身DJ 野球U18W杯も
那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で2日夜に行われた野球のU―18 高校日本代表と沖縄県選抜の壮行試合で、心躍る選曲で観客を盛り上げたDJが話題だ。大雨で1時間余り試合が中断し、熱気が下がりそうになる時間帯に、思わず大合唱が始まるほどの「最高の選曲」で観客のボルテージを一気に上げた。その仕掛け人は、沖縄出身のDJ YOUNG MOさん(41)だ。5日に開幕した「第32回WBSC U18ワールドカップ」の日本対イタリア戦もDJを担当し球場を盛り上げた。
巧みな選曲で球場を盛り上げるDJ YOUNG MOさん=5日、沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)2日の壮行試合は雨の影響で、五回表が終了し日本代表リードの3―0の場面で中断。スタンドには、夏の甲子園を制した沖縄尚学の両エースの投げ合いなどを目当てに1万7969人の大観衆が詰めかけていた。
降り続ける雨でなかなか試合が再開せず、席を立ち始める観客も出そうな状況で、DJの腕の見せ所となった。
安室奈美恵さんの曲「Hero」(ヒーロー)」を流しているときに、スマートフォンのライトなどをつけて揺らす観客を見て、ひらめいた。「沖縄(での開催)だし、沖縄の曲を流してみようかな」。そこで、本来は試合終盤に流す想定だったMONGOL800(モンパチ)の「小さな恋のうた」や、HYの「AM11:00」などを流した。
幅広い世代に愛され、口ずさめる沖縄出身バンドの曲に、観客はついに大合唱を始めた。「小さな恋のうた」のサビの部分などでは、わざと曲の音を消し、観客はアカペラで歌い続け「ほ~ら! あなたにとって~」と大合唱がうねりのように起こった。指笛も鳴り響き、まるで音楽ライブのようにスタンドは最高潮に盛り上がった。
交流サイト(SNS)では「選曲が神ってますわ さすがです」「選曲最高!!モンパチで一気に会場全体がファミリーになりました!ありがとうございました かりゆしも最高」のような投稿があり、反響が広がっている。
自身も「楽しく、幸せな空間だった」と話すDJ YOUNG MOさん。実は試合中、外の音が聞こえづらい部屋でDJの作業をこなしていたため、後で観客の大合唱の光景やSNSでの反響、報道を知り「思いも寄らぬことでびっくりした」と明かす。「あそこまでみんなきれいに歌ってくれるとは。すごく感動した。ちょっと盛り上がればいいなというぐらいに思っていた」という。
現在、米軍基地内にあるクラブやスポーツイベントでも活動し、プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスの試合でもDJを務める。試合展開に合わせた選曲が好評でブースターの間では有名人だ。
事前に準備もするが、想定通りにいかないことも多いDJの仕事。だからこそ客席の様子は「常に見ている」という。 「準備はするが、その通りにうまくいくことはあまりない。準備したものを10%も使わない日もあるし、よく使う日もある。試合の状況や観客の思いにマッチした選曲。「これからも続け、お客さんを楽しませたい」と語る。(古堅一樹)