【センバツ】常葉大菊川 夏への収穫 延長12回タイブレーク敗退…石岡諒哉監督「ピッチャーはよく粘って、最後までいいピッチングをしてくれた」
聖光学院にサヨナラ負けを喫し、整列する常葉大菊川ナイン
◆第97回センバツ高校野球大会第5日 ▽1回戦 聖光学院4×―3常葉大菊川=延長12回タイブレーク=(22日・甲子園)
2年ぶり6度目出場の常葉大菊川(静岡)は、昨秋東北王者の聖光学院(福島)に延長12回タイブレークの末3―4で敗れた。先発の大村昂輝投手(3年)が無失点に抑え0―0で延長へ。10回に2点を先制するもボーク絡みで追いつかれ、3―3の12回には公式戦初登板の佐藤大介投手(2年)がサヨナラ犠飛を喫した。12年ぶりの春1勝には届かなかったが、2時間27分の熱戦で大観衆を沸かせた。
3―3で迎えた延長12回1死一、三塁。背番号1を着けた佐藤大介の投じたカーブが捉えられた。フライを捕球した小川優人中堅手(2年)は三塁走者を刺すため全力送球したが、間に合わなかった。2年生左腕は「真っすぐで勝負すれば良かった」と悔やんだ。最後まで全力プレーを貫いた両チームに、大観衆から惜しみない拍手が送られた。
延長10回に2点を先制。9回まで無失点に抑えていた大村は、その裏2死満塁までこぎ着けた。12年ぶりの春1勝まであと1人としながら、セットポジションからの投球時に静止しなかったことでボーク判定を受けた。三塁走者が生還して1点差となり、直後の右前打で追いつかれた。
「テンポ良く投げようと意識しすぎた。自分のせいで負けた」と責任を背負い込んだが、137球の熱投で自責点0と堂々たる姿を披露した。石岡諒哉監督(35)も「まさか、そこでボークになるとは思っていなかった。それを含めての野球」と振り返ったが「ウチのピッチャーはよく粘って、最後までいいピッチングをしてくれた。最後のところで勝ち切れなかったことを夏への収穫にするしかない」とねぎらった。
11回から登板した佐藤は、公式戦初登板が甲子園の大舞台だった。3―3に追いつかれたものの直後の無死満塁は切り抜け、こちらも自責は0。12回無死一、二塁で右前打を許したが、児玉一琉右翼手(3年)が鋭い球を送り、本塁で刺すなどチームは無失策だった。「守備からリズムをつくっていく」という菊川野球を体現した。
昨秋に背番号1を着けていた大村は1月に左足首の捻挫で出遅れ、センバツのエースナンバーを1学年後輩に譲った。ただ悔しさを感じることはなく「あいつが安心して投げられる投球をしていきたい」と前向きに調整を続けてきた。大村はカーブ、佐藤はスライダーと互いの得意球種の握りを教え合ってきた。マウンドを譲った際も「あとは頼んだぞ、としか思わなかった」と信頼を寄せていた。
夏へ向け大村は「ピンチの部分で粘れるようになって、チームを全国優勝に導けるようなピッチャーになりたい」と決意。佐藤も「フィジカルトレーニングを見直して直球の威力を強めたい」と誓った。2人の「背番号1」が引っ張った聖地での経験を糧に、菊川ナインは強くなって戻ってくる。(伊藤 明日香)
4番・橘木打力UP誓う 〇…打線は相手エース左腕・大嶋哲平(3年)のシュート回転がかかった直球にほんろうされ、9回まで5安打と沈黙した。延長を含めても連打はなく、昨秋にチームトップの打率5割1分3厘をマークした4番の橘木千空一塁手(3年)は4打数無安打。「ゾーンに入ってきたボールを一発で返し切れないチームの能力の低さを痛感した。夏に向け、点を取り切れるようにしたい」と雪辱を誓った。
児玉一琉右翼手(12回無死一、二塁からの右前打で生還を阻止)「聖光学院は接戦になっても自分たちより冷静だった。最後で負けるのは何か原因があるので、夏に向けて探していきたい」
町田稔樹捕手(2投手を好リード)「序盤は低めを意識させた。聖光さんはそこに食らいついてきたので、うまく利用できたのは良かった。大村は素晴らしいピッチングをしてくれた」