クレジット市場、貿易戦争の現実から乖離-トランプ氏発言にも動じず

Neil Callanan

  • メキシコなどへの米関税発動が見込まれてもCDS価格はほぼ動かず
  • 一部の資産運用者やストラテジストにとっては市場の慢心を示唆

トランプ米大統領の関税に関する発言でさえ、クレジット市場を動揺させることはできない。これは一部の資産運用者やストラテジストにとっては、市場の過度な慢心を示唆している。

  メキシコとカナダからの輸入品に対する米国の関税の発動予定日が近づいていた今月3日にも、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格はほとんど動かなかった。出来高は前週の1日当たり平均から2倍余り増加したものの、4日までに活動はより通常に近い水準に戻った。

  アルジェブリス・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ガブリエル・フォア氏は、CDSが売られなかった理由について、「クレジットが依然として全般的にバリュエーションが拡張したタイトな資産クラス」であることを挙げた。

  同氏が運用する「グローバル・オポチュニティーズ・ファンド」は現在、「極めて慎重な」ポジショニングを取っていると指摘。「ハイイールド債でCDSが現在の水準にあったのは過去10年間に3回だけで、その後の6-9カ月は急速に拡大している」と説明した。

  トランプ氏は米国の産業活性化や政府の赤字削減を図るとともに、関税を利用して外国政府との交渉力を高めようとしている。最新の関税は今週公表される予定だ。

  こうした発表のスピードと範囲の広さは市場を驚かせている。マシュー・ベイリー氏を含むJPモルガン・チェースの欧州のクレジットストラテジストは、先月末に弱気な見方に転じ、市場の慢心の兆候が強まっていると主張。価格水準は「正当化するのが極めて困難」で、「ヘッドラインから完全に乖離(かいり)しているように思われる」と指摘した。

原題:Corporate Debt Is Divorced From Trade War Reality: Credit Weekly(抜粋)

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