米JPモルガン、直接融資への取り組みを強化-さらに500億ドル確保

米銀最大手JPモルガン・チェースは、ダイレクトレンディング(直接融資)への取り組みを大幅に強化しており、500億ドル(約7兆4850億円)を追加で確保している。急成長する同市場でのシェア拡大を目指す。

  コマーシャル・投資銀行部門の共同責任者トロイ・ロールボー氏と、キャピタルマーケット部門のグローバル責任者であるケビン・フォーリー氏によると、同行は2021年以来、バランスシートから100件以上のプライベートクレジット案件に100億ドル余りを投じており、今回、新たな取り組みに着手する。同行は共同融資パートナーのグループと提携しており、そのグループもこの取り組みに150億ドル近くを割り当てている。

  ロールボー氏はインタビューで「環境やリスクが妥当であると仮定すれば、まったく問題なく達成できる数字で、現時点では妥当だと考えている」と語った。「この数字に達し、さらに継続する必要があると判断した場合、それを実行する能力は確実にある」と続けた。

  JPモルガンは昨年、共同融資プログラムの初期的なグループをまとめるのに多くの時間を費やした。このグループでは、JPモルガンが融資を組成し、他の企業とともにその融資に投資する。この問題に詳しい関係者によると、このグループは現在、FSインベストメンツ、クリフウォーター、シェンクマン・キャピタル・マネジメント、オクタゴン・クレジット・インベスターズ、ソロス・ファンド・マネジメントなど7社で構成されている。

  ロールボー、フォーリー両氏はこの取り組みに関するさらなる詳細についてはコメントを控えた。ブルームバーグ・ニュースは以前、FSインベストメンツ、クリフウォーター、シェンクマンがJPモルガンと提携したと報じていた。オクタゴンの広報担当者はコメントを控えた。ソロス・ファンド・マネジメントの広報担当者はコメントの要請に応じなかった。

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  JPモルガンの取り組み拡大は、これまで資産運用会社や信用供与業者の領域であった1兆6000億ドル規模の市場において、銀行がシェア拡大を狙っていることを浮き彫りにしている。ブラックストーン、アレス・マネジメント、アポロ・グローバル・マネジメントなどの大手企業が、より大規模な案件に資金を投入する中、JPモルガンやシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループなどは、独自の融資商品を提供することで、伝統的な融資分野の防衛を図っている。

  JPモルガンはその広大な中堅企業顧客ネットワークおよびプライベート・エクイティ・スポンサーに直接融資商品を提供しており、すでに5000万ドルから45億ドルの取引を行っていると、ロールボー、フォーリー両氏は明らかにした。

  JPモルガンは昨年、コマーシャル&投資銀行部門を統合し、現在、ダグ・ペトノ氏とともにロールボー氏が率いる部門を創設した。 2000人以上のコマーシャルバンカーからなる「組成部門」と、トレーディングおよび資本市場事業間の既存のパートナーシップを組み合わせることで、JPモルガンは「ユニークで特別な立ち位置」にあるとロールボー氏は述べた。

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原題:JPMorgan Earmarks $50 Billion More for Its Direct-Lending Push(抜粋)

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