明治安田生命、前年度に続き円債4000億円弱削減-外債と外株積み増し

明治安田生命保険の2025年度の運用計画は、前年度に続き国内債を削減し、外国の債券や株式を積み増す。

  北村乾一郎執行役員・運用企画部長が21日の運用説明会で、25年度の国内債の削減幅と外債の積み増しは前年度と「だいたい同じ程度になる」と述べた。前年度は国内債を3900億円削減する一方、外債を1600億円積み増した。

  債券市場は貿易戦争激化への懸念から値動きが激しくなっており、買い手不在で流動性が低下している。生保は安定した買い手として期待されるが、日本銀行の利上げ継続による金利の先高観から24年度は待ちの状態が続いた。

  日本証券業協会が同日公表した3月の公社債店頭売買高によると、生損保の超長期債売越額は過去最大となった。金利上昇により含み損も拡大しており、生保の慎重姿勢が鮮明になっている。

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  明治安田生命の3月末の国内債の含み損は1兆3800億円と前年同月末(1600億円)から大きく拡大。北村氏は、前年度は「金利先高観により円債の買い入れを抑制した」と述べた。負債と資産のデュレーション(平均残存期間)のマッチングはほぼ終了しており、「円債をどんどん積み増すのは金利リスクが高い」と言う。

  25年度の内外の金融政策運営は、米国が3回から4回の利下げを想定。日銀は米関税政策の影響でタイミングが遅れる可能性があるものの、利上げの方向に変わりなく、1回から2回の利上げを見込む。

日銀は最大1%程度まで利上げへ

  北村氏は、26年度も日銀には利上げの余地があり、最大1%程度までの利上げがあると予想。足元の金利水準は「魅力的だが急がず、日銀の緩やかな利上げにゆっくりついていく」と述べた。30年債利回りは25年度内に「最大3.5%までの上昇があり得る」とみている。

  最近の金利変動の激しさについては「9日を例に取ると、買い手が付かず、売り手だけで値段がつり上がり、市場が壊れる場面が散見された」と指摘。価格が壊れたときはチャンスであり、「流動性を供給できる長期の投資家として頑張って入っていきたい」と語った。

  外債投資については「オープン外債はさほど意欲的ではなく、どちらかというとヘッジ付き外債の方が多い」と説明。ヘッジコストは引き続き高いものの、複数回の米利下げが見込まれる中、今が「金利が高い最後のチャンスであり、取り組むべきアセットだ」と話した。

【明治安田生命の2025年度運用計画】

円建債券 減少 償還が買い入れを上回り減少、平準買いを基本としつつ金利上昇局面で積み増し ヘッジ付き外債 増加 金利水準の高い国を中心に積み増し オープン外債 増加 為替、金利の水準と方向性に応じ機動的に対応 国内株 減少 銘柄入れ替え 外国株 増加 ニューヨーク拠点活用しPE、PD中心に積み増し

【金融環境見通し:26年3月末の見通しとレンジ】

国内10年金利(%) 1.3(0.8~1.55) 米国10年金利(%) 4.0(3.4~4.9) 日経平均(円) 32000(28000~38000) NYダウ(ドル) 38000(35000~42000) ドル・円(円) 145(138~158) ユーロ・円(円) 145(141~163)

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