吉沢亮、横浜流星、渡辺謙がカンヌへ! 李相日監督「国宝」に約6分のスタンディングオベーション
早朝からの上映にも関わらず、チケットは発売後、早々に完売。世界中から集まる映画関係者が開場前から行列をなした。上映前に「監督週間」ディレクターのジュリアン・レジ氏は、「『国宝』はとても面白かったし、個人的にも好きです。作家性と商業性が良いバランスで成立する映画は近年とても珍しいです。このような、伝統的な日本映画も、最近では珍しいです。選んだ後に、この映画が日本ですごく大きな規模で劇場公開されるということを聞きました。素晴らしいことだと思います」とコメントし、李相日監督は、「華麗であり、壮絶である歌舞伎俳優の生き様をお披露目する場として、これ以上ない大舞台」と喜びをかみしめていた。
(C)kazuko Wakayama観客に向け、レジ氏は「本日は日本の監督をお迎えしまして、我々も非常に気に入った作品を紹介させていただきます。最近ではなかなか見ないメロドラマで、半世紀に及ぶ日本人の歌舞伎役者の半生を描いた作品です。そしてこの作品の特徴といえるのが、歌舞伎役者でもなく女形でもない、日本の映画界のスターの人たちが1年半かけて稽古をし、歌舞伎を再現しつつ、様々な人たちに歌舞伎を理解していただけるような映画になっています」と作品を紹介。
李監督:「ボンジュール! フランス語はこれだけしか喋れなくてすみません(笑)。歴史あるカンヌ国際映画祭、そしてとても意義の深い成り立ちであるこの監督週間に選ばれたことを本当に、とてもとても、日本のスタッフも他の役者も全員が光栄に思っております。そして今日は先ほどジュリアン氏が紹介してくれましたけれども、(吉沢たちを見ながら)彼らの献身と努力が無ければ歌舞伎の映画に真実味を持たせることはできなかったので、そんな彼らとこの場に立てることを非常に嬉しく思っております。ちょっと長い映画ですが(笑)、どうか最後まで楽しんでください」
(C)Kazuko Wakayama吉沢:「ボンジュール!本日は、映画に携わっている者にとっての憧れの地で、世界中の皆さまに、日本の伝統芸能である歌舞伎を題材とした映画をお届けできることを非常に光栄に思います。僕と流星が1年半かけて歌舞伎というものと向き合って、どうにか完成させた作品です。皆さまがどのようにこの作品を観てくださるのか、非常に不安もありますが、すごく楽しみにしております。今日は最後までお楽しみください」
横浜:「ボンジュール!映画人としての憧れの地、カンヌに来ることができ、非常に嬉しく思っております。日本の伝統芸能を題材にした人間ドラマが皆さまの心にどう届くのか、非常に楽しみにしております。上映を楽しんでご覧ください」
そして最後に渡辺が「グッドアフタヌーン! 皆さん本日はお越しいただきありがとうございます。本日ここに立てたことを本当に光栄に思います。二人の才能ある俳優の努力のたまものであるこの映画は、成功を手に入れるはずです。私は彼らの献身に心から敬意を払います。どうかこの作品をお楽しみください。そして繰り返しますが、この映画は少しだけ長いです(笑)」と流ちょうな英語で挨拶した。
上映が終わると、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、歌舞伎の大向こうさながらに「KIKUO!」との声があがり、約6分にわたる熱狂的なスタンディングオベーションが続く。なりやまない拍手と歓声に4人は互いに手をとりあい、高く上げ、満席の観客に感謝を表現。吉沢と横浜は熱く抱き合い、李監督と渡辺は握手をするなど、お互いを称えあい、喜びを分かち合っていた。
上映後、李相日監督は「(上映の)最後の最後で、ものすごくちゃんと我々が込めたものがすべて届いている、伝わっているという感触がダイレクトにあって、震えが来る感じがしました。」と感動と興奮が入り混じる中、想いを述べる。吉沢は「我々がこの作品に込めた熱量みたいなものをしっかり受け取ってくださって、これだけの盛り上がりを見せてくださり、すごく胸に来るものがありました」、横浜は「観終わった後の鳴りやまない拍手、あの光景はこれから先も忘れないと思いますし、本当に役者をやっていてよかったなと思える瞬間でした。ありがとうございます」、渡辺は「最後に喜久雄が観た風景を僕らみんなで観させてもらった、そんな気がしました。ちょっとやっぱりここ(胸)が震えました」とコメント。全員が涙を滲ませ、感謝の言葉を述べた。
観客からも「とても美しくて印象に残る映画でした。映像も非常に印象的で、素晴らしかったです。クライマックスのシーン、すべては語りきれませんがコントラストがとても美しかったです。もっともっと続きを観たいと感じさせました」「とても印象的でした。歌舞伎の世界の発見は私にとってひとつの冒険であり、旅でもありました。(日本的な)伝統と規律は私たちにとっては斬新でした。とても美しい映画だとも思いました。舞台上で何が起こっているのか正確にはわからなかったけれども、キャラクターたちの過去に起こった出来事や心情、また歌舞伎という伝統に思いを馳せることで、感情移入しながら観ることができました」と日本の伝統文化をテーマとした本作に、驚きとともに感激のコメントが寄せられた。
「国宝」は6月6日から全国公開。